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百人一読(ドン・キホーテ芋づる編)

昨日は暑くて出来なかった。今日も暑いんだけど冷たい飲み物と氷枕があった。続きは『ドン・キホーテ』から思いつくままに。何が出るかよくわからん。海外、国内ごちゃ混ぜで。



41 セルバンテス『ドン・キホーテ』

『やりなおし世界文学』という本に噛みついたのは「世界文学」と言いながら『ドン・キホーテ』がないのである。だいたい欧米中心の文学でアメリカのどうでもいい文学を紹介しながら、肝心の世界的名作がはいってないのである。そのからくりはAmazon(アメリカ)でのアンケートだったから辺境の文学趣味が出たのだと思う。ナボコフだって『ドン・キホーテ』をいれてるだろう!


42  ナボコフ『ロリータ』 

ナボコフの『ロリータ』もロリコンものだと思って読んでなかった(ロリコンよりは熟女ものの方が好きだ)キューブリックの映画を見たがそれほど感動もしなかったし、ただ『ドン・キホーテ』を読む過程でいろいろ調べたらナボコフの本『ナボコフのドン・キホーテ講義』が面白かった。そっちを読んでから読むと『ロリータ』もドン・キホーテの流れだと理解出来た。

43ゴーゴリ『外套 』

ドストエフスキーが現代文学はゴーゴリ『外套』から始まったというように、外せない世界文学である。カフカもゴーゴリから影響を受けたと書いているほどなのだ。不条理文学のもっともたるものだと思うがサンクト・ペテルブルグがパリを模倣した人工都市でありそういうところも関係しているのではないか?日本だと後藤明生がゴーゴリの重要性について書いている。


44 芥川竜之介『舞踏会』

芥川竜之介にも『鼻』という短編があるが、日本の近代化の薄ペッラさについて書いた『鹿鳴館』はゴーゴリのペテルブルグと繋がってくるのかもしれない。芥川は短編だったらこの人意外にいないと思わせるような、古典ものから神話的なもの、現代ものなどバラエティに富んでいる。太宰は芥川を尊敬していたからどうしても芥川賞が欲しかったという。


45 チェーホフ『かもめ』

チェーホフも短編の名手と言われるのだがそれよりも戯曲の方がいいだろう。会話と劇的でもない展開かな。劇的でもないというのはシェイクスピアのような劇的展開ではなく心理劇のそうなっていく展開というか。村上春樹の小説にも取り上げているように、モダンな戯曲なのかもしれない。


46  エドガー・アラン ポー『黒猫』

短編の名手というとやはりポーなのか。ゴシックミステリーの大家だけど『アッシャー家の崩壊』などは「あっちゃー」という展開である。『やりなおし世界文学』と同じ感想だが。ただ『黒猫』とかミステリーの他にアル中としてのDVがあったり現代的な小説だ。


47『谷崎潤一郎マゾヒズム小説集』

ポーを読んだら谷崎潤一郎のこれをお勧めするのは、芥川との論争『文芸的な、余りに文芸的な/饒舌録 ほか 芥川vs.谷崎論争』がエンタメか芸術としての文学かという論争の元になった谷崎潤一郎『日本に於けるクリップン事件』が入っているからである。これは新聞の三面記事を小説にした谷崎のエンタメ小説だった。谷崎の方が文学はと言いそうなのであるが、たぶん芥川との間で日本の文学を活気づけたのであろう。谷崎はそういう部分がある。サービス精神旺盛というか『源氏物語』も翻訳していた。

48 橋本治『窯変 源氏物語』

『源氏物語』も海外文学で取り上げ、谷崎でもお勧めした。そんな中で日本の現代文学的ポスト・モダン小説と言えるのが橋本源氏ではないかと思う。全部読む必要はないと思うが気になった帖など読み比べるのもいいかもしれない。


49 トルストイ『アンナ・カレーニナ』

ドストエフスキーがあってトルストイがないと思うのはやはりちょっと古いのかもしれない。ドストエフスキーが都会の三面記事的な小説を書いているのに、トルストイは大河ロマンなのだ。田舎の貴族の話というような。そこに懐かしさや自然を見出して、白樺派なんかは影響を受けたのかもしれない。まあ私小説ではなく大河ロマンなので村上春樹のカエルくんと話をすると盛り上がるかもしれない。


50 ル・クレジオ『ロンドその他の三面記事』

ル・クレジオも短編の名手だと思うのはこの表題作『ロンド』を読んだだけでも衝撃を受けた。ロータリーをくるくる回るヤンキーな原チャリに乗る事故記事なのだが、原チャリがやっぱおしゃれなベスパになったりするのだ。小島麻由美の歌に近いような急展開。ちょっとこれは手に入りにくいので『海を見たことがなかった少年』もル・クレジオの短編の良さを伝えているのかな。最近読んだ『ブルターニュの歌』も良かった。



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