テキストは『万葉集』。今日は長歌(柿本人麻呂)にトライしてみる。挽歌形式をやってみたいのだ。死に対する日本人の感情は挽歌形式にあるのかもしれない。
長歌は五七調(七五調でも)続けて、結末は七七で締める。そして、反歌(死者の呼びかけ)として短歌が詠まれるのだ。今回は実験作ということで古典にチャレンジしてみる。それは『異聞 源氏物語 紫陽花』の巻をとりあえず和歌でやりたいと思ったからだ。
紫陽花はこの時代忌み嫌われていた。それは目立たない花でもあったが、なんとなく鬱陶しい花のように思えたのではないのか?雨の日に咲き乱れ、晴れ間には萎れていく。華麗に散る花ではない。衰弱していくような色あせて枯れてゆく。枯れたまま冬まで残っている紫陽花とかもある。なんとなく未練たらしいのか。そんな紫陽花のネガティブな部分をもののけの怨念として、見立て、その中で怨霊の鎮魂を舞姫(紫陽花)がする。光源氏の気持ちを引き、最後は契を交わすというエロス。「エロスとタナトス」の神話を描いてみたい。『東方綺譚』に「源氏の君の最後の恋」というマグリット・ユルスナールの作品があった。
長歌は対句的に五七調で続けていく。
とりあえず部屋の四隅に神獣を供え、それを鎮魂するという「紫陽花の舞」。精魂尽きて光源氏に倒れ込む紫陽花は、そのまま契を結ぶ。その後に光源氏の短歌になるのだが。