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仲麻呂と奈良麻呂正しいのはどっち?

『双調平家物語 4 奈良の巻 』橋本治(中公文庫)

聖武の帝の御世、長屋王は謀叛の咎によって自害する。だが、政敵を葬った藤原一族に栄えはなくやがて都に蔓延した疫病で藤の四兄弟は揃って世を去る。一方、県犬養橘三千代は、長屋王の変後、娘の立后を策し、藤原の夫人は光明皇后となり、異父兄、橘諸兄が実権を握る。藤原広嗣の乱、繰り返される遷都、橘奈良麻呂のクーデター…。

聖武天皇と藤原四家ということだろうか。藤原四家は優遇されてはいるもの不比等の頃のように絶対権力を手に出来ていない。また四家同士も意見がまとまっておらず、長屋王の乱、藤原広嗣の乱、橘奈良麻呂の乱が起きる。その度に聖武天皇は怯えて遷都したり、仏教に救いを求めたり、女性親王を東宮に据えたりして、政情を混乱させる。天皇がもっとも権威があるのだが、その天皇のせいで病やら政情不安の乱が起きたりするのだと一人の力ではどうすることも出来ない。

結局藤原家の力を借りることになるのだが、藤原家の対立構造があり、奈良麻呂と仲麻呂という藤原家の中での天皇至上主義と仏教にすがりましょう的な対立のなかで東大寺建築の大事業があり、それがますます民衆を苦しめるのだ、という噂が流れたり、橋本治の記述も事件が前後したりして晦渋になっていくようだった。

この頃は仏教の力が勢力をましてきて、天皇の傀儡となるのも僧侶だったりするようになるのか。その最たる人が孝謙天皇であるのだがこの話は里中満智子の漫画(『女帝手記』)で読んだので、次回はそんなところか?


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