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金網や向こうから顔を出す白い花 《コスモス 》

白いコスモス。昨日は久しぶりに吟行をしたのだが吟行で上手く読めない。興味深いものを見つけてその感動を詠むというのだが、銀杏の黄葉とか蜜柑とかの黄色が目立ったのにそういう句が読めずに、金網の白いコスモスなら読めそうな気がする。今日の一句。

金網や向こうから顔を出す白いコスモス  宿仮

字余りと季語をルビで処理する。定型にこだわれば花でもいいわけで、季語にこだわるならコスモスという字余りだけど7音だから、それなりに形は出来ている。その形が金網という世界を象徴している。花という顔はその向う側からの世界。いい句だと思うが、頭で理解しているな。

昨日はいつもいく図書館ではなく違う図書館に行った。堀田季何『人類の午後』がその図書館にあったので歩いて50分ぐらいの距離を吟行のつもりで出かけたのだが、それだけで全身汗まみれになって、中央図書館に行ったときは寒くなって帰宅する。その途上で雨が降ってきて散々な吟行になったわけだった。まあ、今日は横浜の図書館に返却する四冊が出来たので予約本を借りに行ける。船戸与一『蝦夷地別件』は全3冊の長編だったのを後から知ってとりあえず下巻を読んで返却することに。

次に読むのは、橋本治『双調平家物語 5 女帝の巻 院の巻』で女性天皇孝謙(称徳)天皇から藤原氏の執政政権になる巻で孝謙天皇は道鏡という僧侶が後知恵を付けて世が乱れるのだが、その後に藤原北家の時代になり、藤原兼家─道長の世になるのだった。ちょうど「望月」という章があり『光る君へ』の復習だと思って読んでいる。まだ「望月」の和歌は出てこないが最後合唱になるのか?興味津津だ。やっと本来の『平家物語』に入っていくのだろうか?その次の巻みたいだ。

読書はそのぐらいか?録画していた『欲望のサブカルチャー史(正しくは、世界サブカルチャー史 欲望の系譜) 4、世紀の地政学ヒップホップ」を観た。

映画、ポップス、流行、社会風俗…、夢と現実の交差点、サブカルチャー。 メインからこぼれ落ちるエネルギー。人々の心の奥底を覗くとき、そこに見え隠れするのは、時代の痕跡か?それとも大衆の欲望か? 大好評の「アメリカ編1950ー2010s」に続き、シーズン2「ヨーロッパ編」、シーズン3「日本編」と、それぞれ60年代から90年代まで激動の時代、社会の空気の変化を追う、想像力の旅。 超大国の光と影、冷戦の緊張と緩和の中、時代のマグマはどこに噴出する? 世界の今、これからを考える為の異色の歴史エンタメ・ドキュメント。語りは俳優の玉木宏。

ヒップホップが黒人の貧困層から始まるのだがそれはマチズモでありアメリカ経済システムの中に搾取されていく。結局、ギャングスターと現れた彼等が求めるものは金と名誉と女だったわけで、アメリカ資本主義と合致する。それに対抗する者たちの敵味方というバトルがまたヒップホップという文化を活性化していくのだが、結局は商業主義に飲み込まれていくのだった。それはアメリカ文化の世界進出化に他ならないのだが、経済大国であるアメリカも陰りを見せて各国のナショナリズムに飲み込まれていくという図式だろうか。そのなかでテクノロジー化というデジタル化があり、それは近年のYouTubeとかTikTok文化になっていくのだ。そこに見られるのはアクセス数がすべてであるという数値の文化なのか?

マネー経済も数値によるもので数値の幻想が世界を動かしている。それは養老孟司の「脳化社会」ということなんだろう。人間の身体が数値によって決められていく。病院の診断は平均値にすぎないのに、その枠から外れると病ということになるのだが、経済システムではその枠を外れた才能がマネーを産みだすという矛盾。だから金持ちは幸せになれないのだ。精神と肉体のバランスが取れない。

「サブカルチャー史」で一つだけ不満なところがあったのはスパイク・リーの扱い方か?『ドゥ・ザ・ライト・シング』でブルックリンの暴動を描いているのに、それには触れず『クロッカーズ』(1995年)を出してくる。

すでに『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989年)では『クロッカーズ』のテーマは出ていたのだ。むしろスパイク・リーはデビュー作から底辺黒人の問題意識はあったと思う。さらに、『ドゥ・ザ・ライト・シング』はラジカセという日本製品と朝鮮人の商店が襲撃される民族対立も描いている。そこにアジア系民族(中華系は出てこないが暗示されている)排除も描いていた。テクノと民族対立と経済格差のアメリカの問題がすでに含まれていた。

経済と格差社会とデジタル化がもたらすものは幸福なのだろうか?そこに脳化社会の問題があるように思える。今日の一首。

脳みそダダ漏れて監視と対立 ヒップホップと脳化社会 やどかり

音韻が出来てないな。

ダダ漏れて縦乗りリズムオンオフに対立と監視 脳化社会 やどかり


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