晩春のストラヴィンスキー草臥れて
クリーヴランド管弦楽団 & ピエール・ブーレーズ『ストラヴィンスキー:「春の祭典」/ドビュッシー:「牧神」、他』(1998年)
この時期になると聞きたくなる曲にストラヴィンスキー『春の祭典』があります。一部では「ハルサイ」(「ハルサイおじさん」ではない!)と短縮形で呼ばれている超有名曲。
その中でも名盤とされるのがピエール・ブーレーズの1963年盤なんですが、新しいのがお勧めアルバムとしてAmazonMusicで出てきたので聞いてみました。これが良かったのです。
ブーレーズもお年だからどうなんだろうと思っていたのですが、最初のドビュッシーの「牧神の午後」が聴かせます。それまでこの曲にそれほど注目したことはなかったのですが、「ハルサイ」との関係で聴くとなるほどと納得できるほど、「ハルサイ」の前奏曲になっているのです。
マラルメの詩『牧神の午後』から着想を得たバレエで、「春眠暁に覚えず」だったのですね。牧神は「半獣神」で「パーンの笛」で有名な山羊との神との間の子?と言われるギリシア神話に出てくる半神です。だから、ここでも笛が重要なモチーフなんでしょうね。
半獣神の午後
あのナンフたち、永遠に続けていたい。
なんと明るい
軽やかなあの肉食、今も空中を 舞い踊る
生い茂る 眠りに沈む 大気の なかを
愛したのは、夢か あれは?
(『マラルメ詩集』渡邊守章訳)
2人のニンフ(妖精)を手籠にしたい半獣神が、うたた寝している間に逃げられたというモチーフです。それが、ロシアのバレエ・ダンサー、ニジンスキーで踊られたのです。バレエ観てみたみたいですね。
これから伺われうように、あきらかに「春の祭典」に繋がるモチーフですよね。おまけに、「春の祭典」を振り付けをしたのはニジンスキー。最初の公演が賛否両論で客席で争いが起きたとか有名エピソードにはことかかないストラビンスキーの音楽ですが、今では『映像の世紀』にも出てくる20世紀を代表する作曲家です。
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