短編小説ベスト5

読書メーターで「短編小説ベスト5」という題が出たので考えてみたいと思います。まずすぐに浮かぶのがカフカ。カフカは短編小説だけではなく文学全般で一番だと思っているので、短編小説もやはり外せない。一番のショートショート『インディアンになりたいという願い』は短歌みたいな作品で、インディアンになりたくて馬に乗って走ったら風を感じて馬のたてがみと共に消えてしまうというような内容なのだが、その疾走感がたまらなく好きだった。ただカフカの短編だとやはり晩年の『歌姫ヨゼフィーネ、またはハツカネズミ族』かな。ビリー・ホリデイ『奇妙な果実』をBGMに。

海外文学ではル・クレジオの短編集が好きで『海を見たことがなかった少年』もいいんだけどちょっとセンチメンタルすぎるかな。その前後に出た『ロンドその他の三面記事』の『ロンド』が素晴らしい。ただロータリーをぐるぐる回る少女(暴走族のような)の話なのだが、その疾走感が「ロンド」をピアノで奏でるような、バド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』を聴きながらため息をついてしまうような小説。

疾走感がある小説が好きなのかな。じんわりタイプだと芥川龍之介『手巾』とか。太宰治だと『魚服記』か。これも疾走感の方の小説か。じんわり恐怖が襲ってくるポーだと『黒猫』とかだろうか?

金井美恵子『兎』とかどうだろうか?感性の塊のような短編集だが今読むとキツイかもしれない。それより多和田葉子の短編集か?短編連作だから短編となると選ぶのが難しい。いや、もうベスト5出ていた。

カフカ『歌姫ヨゼフィーネ、またはハツカネズミ族』
ル・クレジオ『ロンド』
芥川龍之介『手巾』
太宰治『魚服記』
ポー『黒猫』

こういうのはその日の気分で変わったり人から指摘されてあっと思ったり。ゴーゴリ『外套』を忘れていた。短編ではやはり一番かも。中編かな。

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