華の共演も良し悪し
『華の乱』(1988年/日本)監督深作欣二 出演吉永小百合/松田優作/池上季実子/石田えり/中田喜子/西川峰子/松坂慶子/風間杜夫/緒形拳/石橋蓮司
オールスターキャストによる大正浪漫のエンタメ映画。与謝野晶子は脚色されていて恋に生きる女のままだった。大正時代までだからか。吉永小百合は目立たないというか、前半は松井須磨子演じる松坂慶子の過剰な演技にかすれてしまった。松坂慶子は特別出演なのに主役を食うぐらいの過剰演技。
吉永小百合の静と松坂慶子の動を対照的に描きたかったのかもしれないが、松坂慶子はミスキャストだった。『蒲田行進曲』のまま抜けきれない感じの演技。吉永小百合はこういうオールキャストの場合は、あまり過剰になる人と組ませないほうがいいような。美人かもしれないが演技が地味。
松田優作が静の演技で魅せる。有島武郎の役は役作りから入っているような。最初松田優作だとわからなかった。演技派が入り乱れている中で松田優作の存在感はピカ一だった。
伊藤野枝役の石田エリは泣けるシーン、最初の子供が辻潤と一緒に旅芸人のように付き添っているシーン。子沢山で与謝野晶子の家と重なるのだが、石田えりが吉永小百合と対になるように描いたほうが良かったかな。全体的に過剰の演技なのは、監督の好みなのか?
池上季実子はこの頃が華だったんだろうな。