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夢を見ていられるだけいいのかもしれない

『黄粱夢』

初出は「中央文学」[春陽堂、1917(大正6)年]。短編集「影燈籠」[春陽堂、1920(大正9)年]に「英雄の器」「女体」「尾生の信」らと共に「小品四種」の「一」として収録。いずれも中国の古典から発想を得ており、緩やかな連作短編と考えられる。沈既済「枕中記」を典拠に、原作と異なり夢の中の栄枯盛衰に価値を見出している作品。

芥川の中国の故事もの。こういう初期の短編の方が好きかもしれない。賢者との対話だが賢者が一生分の夢さえ儚いものだと言っているがその夢さえ愛おしいという愚者である。そもそもその賢者も夢であるかもしれず、その只中に人は生きねばならない。先程の『おしの』とは違いすべてを否定しているわけではないのかと。


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