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大衆の森なのか?

『暗殺の森』(1970年製作/110分/イタリア・フランス・西ドイツ合作)監督:ベルナルド・ベルトルッチ 出演:ドミニク・サンダ、ジャン=ルイ・トランティニャン、ピエール・クレマンティ、ステファニア・サンドレッリ


「ラストタンゴ・イン・パリ」「ラストエンペラー」で世界的に知られるベルナルド・ベルトルッチ監督が1970年に手がけた作品で、アルベルト・モラビアの「孤独な青年」を原作に、過去の罪に捕われファシストにならざるを得なかった男の悲哀を描いた。幼い頃、自分を犯そうとした男を射殺してしまったマルチェッロは、いまだに罪の意識が消えずにいた。ある日、彼に反ファシズムのクアドリ教授暗殺の命が下る。好奇の目にさらされながらも優雅に踊る女同士のダンスシーン、雪の降り積もった森での暗殺シーンなどベルトルッチと名匠ビットリオ・ストラーロのコンビが描く映像美も見どころ。日本では72年に劇場公開されており、ベルトルッチ作品の日本における初劇場公開作となった。2015年、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

WOWOWで放送していたのを何気なく見入っていたら、『暗殺の森』だった。ベルトリッチでは一番好きかもしれないな。イタリアでファシズムが徐々に浸透していく様子を緊迫感ある映像で見せている。その中にあるイタリア映画的なエロスと奔放さがあるのだが、ベルトリッチが引き継いだのはヴィスコンティ風の一つの時代の終焉か?それは貴族的な上流階級がファシズムという大衆によって滅ぼされていく過程なのだが、集団のダンスシーンを途中に挟むのはフェリー二のようなんだけど、それがラストの暗殺の森の前触れになっているのだ。

ドミニク・サンダの気品は、ラストには悲惨な真っ赤な顔となって、そこはホラーだよなと思いながら見ていた。暗殺の森のシーンは、見事なラストシーンだと思う。森から出てくるファシストたち。助けを呼んでも車の中の男たちは無視され、逃げるドミニク・サンダ。今見るとホラー映画のスタイルだよな。

そしてそのあとにファシズム時代が終わって大衆のレジスタンスになるのだが、そこもベルトリッチの皮肉があると思う。それはファシストも密告によって殺されていくのは、戦時と同じ構造なのだ。反戦映画との違いはそういうところにある。ある時代の終焉であり始まりでもある。

原作がモラヴィアだった。最近新訳が出たのだった。


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