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映画の奇蹟は起きたのか?
『瞳をとじて』(2023年製作/169分/G/スペイン)監督:ビクトル・エリセ 出演:マノロ・ソロ、アナ・トレント、ホセ・コロナド
映画『別れのまなざし』の撮影中に主演俳優フリオ・アレナスが失踪した。 それから22年、当時の映画監督でありフリオの親友でもあったミゲルはかつての人気俳優失踪事件の謎を追うTV番組から証言者として出演依頼を受ける。取材協力するミゲルだったが次第にフリオと過ごした青春時代を、そして自らの半生を追想していく。そして番組終了後、一通の思わぬ情報が寄せられた。
「フリオによく似た男が海辺の施設にいる」――。
映画の奇蹟を描いたメタ映画(映画のための映画)でビクトル・エリセ監督は裏切らないという感じで良かった。最初はどうなのかと(いまいち面白くない!)と思ったがラストが映画の奇蹟があったのかどうかも観客に問う形が素晴らしいと思った。無理やり奇蹟を作ってもお涙頂戴映画になるだけだし、踏みとどまるところで踏みとどまっているのがエリセ監督の偉さか。
「映画に奇蹟を起こすのはカール・ドライヤー以降はない」というセリフもいい。明日、ドライヤー見に行こうかなと思ってしまった。
なにより映画ファンの感動ポイントを知り尽くしている感じだ。まずアナ・トレントが31年ぶりに出演するという期待感。まあ普通にオバサンになっているけど瞳はあの頃のままだと思わされてしまう(そういう作りになっている)。
さらに音楽がいい。映画音楽で感動させる。ラストのピアノの旋律とか歌とか、音楽の使い方が上手い。
なにより閉館した映画館でフィルム上映させるというラストシーンは永遠に語ることが出来るラストだと思う。