映画の奇蹟は起きたのか?
『瞳をとじて』(2023年製作/169分/G/スペイン)監督:ビクトル・エリセ 出演:マノロ・ソロ、アナ・トレント、ホセ・コロナド
映画の奇蹟を描いたメタ映画(映画のための映画)でビクトル・エリセ監督は裏切らないという感じで良かった。最初はどうなのかと(いまいち面白くない!)と思ったがラストが映画の奇蹟があったのかどうかも観客に問う形が素晴らしいと思った。無理やり奇蹟を作ってもお涙頂戴映画になるだけだし、踏みとどまるところで踏みとどまっているのがエリセ監督の偉さか。
「映画に奇蹟を起こすのはカール・ドライヤー以降はない」というセリフもいい。明日、ドライヤー見に行こうかなと思ってしまった。
なにより映画ファンの感動ポイントを知り尽くしている感じだ。まずアナ・トレントが31年ぶりに出演するという期待感。まあ普通にオバサンになっているけど瞳はあの頃のままだと思わされてしまう(そういう作りになっている)。
さらに音楽がいい。映画音楽で感動させる。ラストのピアノの旋律とか歌とか、音楽の使い方が上手い。
なにより閉館した映画館でフィルム上映させるというラストシーンは永遠に語ることが出来るラストだと思う。