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ジャズ界の「グレートプリテンダー」
Lester Bowie"The Great Pretender"ECM released in 1981.
Lester Bowie - trumpet
Hamiet Bluiett - baritone saxophone
Donald Smith - piano, organ
Fred Williams - bass, electric bass
Phillip Wilson - drums
Fontella Bass - vocals
David Peaston - vocals
"The Great Pretender" (Buck Ram) - 16:22
"It's Howdy Doody Time" (Edward Kean) - 2:08
"When the Doom (Moon) Comes Over the Mountain" (Harry M. Woods, Howard E. Johnson; arranged by Lester Bowie) - 3:39
"Rios Negroes" (Bowie) - 7:17
"Rose Drop" (Bowie) - 7:28
"Oh, How the Ghost Sings" (Bowie, Donald Smith, Fred Williams, Phillip Wilson, Manfred Eicher, Martin Wieland) 5:50
レスター・ボウイはフリー・ジャズ・パフォーマンス集団、アート・アンサンブル・オブ・シカゴの一員なのですがレスター・ボウイ個人ではもっとブラック・ミュージック寄りに、ファンク・ジャズの要因が出てくるアーティストです。それは彼が影響を受けたアーティストがルイ・アームストロングだったことからもエンタテイメントとジャズの両立を図ってこのようなアルバムが出来たのかもしれません。
「グレート・プリテンダー」はR&Bのコーラスグループ、プラターズのヒット曲(1956年)で後にクーインのフレディ・マーキュリーによって歌われた名曲(1987年)です。だからフレディ・マーキュリーの歌以前にレスター・ボウイがR&Bのインストゥルメンタルとして取り上げたのです。
レスター・ボウイのこのアルバムでは、ピアニストのドナルド・スミスとベースのフレッド・ウィリアムスのよりR&Bよりのリズムセッションの中でレスター・ボウイのトランペットはデフォメルされた「グレートプリテンダー」(プリテンダーは詐欺師の意味だそうです)の音楽で楽しませてくれます。大衆音楽としてのジャズの温故知新、ルイ・アームストロングに近づいているのかもしれないですね。ハミュエット・ブルエットのバリトン・サックスが効果的に不気味さを醸し出しています。
レコードでいうとB面の一曲目(本来アーティストが一番やりたい曲)にレスター・ボウイの曲"Rios Negroes"はジャズ寄りのヒップな曲でノリノリな演奏なのが素敵です。ベースがエレキベースがヒップな感じを醸し出しています。その中で鋭いメレディアスのボウイのトランペット。ピアノはブギウギ調でこれも楽しいですね。
二曲目は打って変わってフリージャズスタイル。
(ジャズ再入門vol.38)