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韓国の隠蔽されたジェノサイド
『チスル』(韓国/2012)監督:オ・ミヨル 出演:ヤン・ジョンウォン
解説/あらすじ
第二次世界大戦後、アメリカ主導で進められていた南だけの単独政権樹立を意図する選挙を阻止しようとした済州島民の鎮圧に伴う虐殺事件・済州島4・3事件。沈黙を強いられてきた生き証人の言葉にならぬ声を掬い上げ、島民が逃げ込んだ実際の洞窟で撮影を敢行、彼らの絶望と希望の刹那を描く。
「済州島四・三事件」は韓国でも知る人が少ないと言う。それは北朝鮮が絡んでくる問題だからアメリカ支配下の韓国政府としてはレッドパージ政策として隠蔽してきたからだ。韓国映画が好きな私でも韓国での「済州島四・三事件」の映画は始めて観た。
いたたまれないのは、共産党員ではない村人が無差別に殺されたこと。これは日本統治時代に日本軍に従属した兵士だと聞いた。その彼らはアメリカに忠誠を誓わなければならなかったのだと思う。民衆としてみれば日本軍に従属した兵士に反感があっただろう。そういうこともあったかもしれないと思うのは金石範『火山島』を読んだからだ。むしろ在日朝鮮人で日本に逃げてきた人の話の方が伝わってきているのかもしれない。先日見たドキュメンタリー、ヤン ヨンヒ監督『スープとイデオロギー』も背景として、「済州島四・三事件」があった。
日本の沖縄の悲劇と似ているのかもしれない。誰がスパイか疑心暗鬼になり恐怖心から手当たり次第殺してしまう。映画はモノクロでそうした悲劇のためか際どいシーンも詩的に処理している感じだった。それは事件を悲劇として弔いという形で映像化しているからだ。「済州島四・三事件」挽歌と言ったような映画。