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笑劇のコント集

『自由の幻想』(1974/仏伊)監督:ルイス・ブニュエル 出演:ジャン=クロード・ブリアリ/モニカ・ヴィッティ/ミシェル・ピコリ/ジャン・ロシュフォール/パスカル・オードレ


「この映画の題名は、
カール・マルクスとわたしが共同で作ったものだ」(ブニュエル)

一見したところ、互いに関係のない、しかもそれぞれ完結することのない挿話の数々が、さまざまな偶然を介してごく緩やかに連結されてゆく、超現実的な遊戯を思わせる独自の語り口を採用した、過激な「反物語映画」。それまでのブニュエル映画が部分的に実践してきたこと、つまり映画自体を「夢」に近づけることが、『黄金時代』以来久しぶりに作品全体に拡大されたかのような趣が備わっているのが本作である。描かれるできごとの多くは、エロティックで倒錯臭の強い、典型的ブニュエル世界。奇怪な夢を見た後、人はその夢になんらかの意味を見いだそうと必死になるが、それは無駄な努力に終わる!

オープニングがナポレオンのスペイン侵攻でゴヤの処刑の絵『マドリード、1808年5月3日』を映像化したもの。ナポレオンから始まるのは、マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』を踏まえていて、「一度目は悲劇で二度目は笑劇である」という言葉通り、フランスでの笑劇のコント集なのだ。

シュルレアリスム的な映画だから夢とかエロスをモチーフにしたものが多いが基本コントだから笑える小話集。そんなラストはパリの群衆が自由を求めてデモをするのを銃声で鎮圧される構図で、最初と最後がタイトルを意味しているのかな。あとは風刺劇。


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