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リスペクトがないリメイクはただのパクリになる

『YOLO 百元の恋』(上映日:2024/ 中国/ 129分)【監督】ジャー・リン出演】ジャー・リン/ライ・チァイン

『百円の恋』(2014年製作/113分/R15+/日本)監督:武正晴 出演:安藤サクラ、新井浩文

中国版『百年の恋』という触れ込みで、『YOLO 百元の恋』を観たのだが、リスペクトがないリメイクはほとんどパクリなんだとおもってしまった。昨日家に戻ってからの感想である。

日本映画『百円の恋』の中国リメイク版なんのだが、日本版にあったインディーズらしさと安藤サクラの俳優としての評価はまだ定まっておらずカンヌのグランプリ『万引き家族』で大女優になるのだが、彼女の代表作は『百円の恋』だとおもっている。そんな日本で成功した作品を中国が予算とスターが定められた作られた映画では感動の度合いが違った。

たとえばエンディングでのトレーニング日記がすでにスターを予測して作られたマニュアル通りのメニューであり、それは減量ボクシング映画と変わらない。そういう映画を避けているストーリーなのにである。TV的というかプロレスでもスターを作るために専門化スタッフが集結して、デビューさせるやり方に近いというか、主演のジャー・リンは可愛く変身しすぎなのである。安藤サクラが安藤サクラのまま恋をするボクシング&映画ではないのである。恋の熱量が決められた路線の中でスター映画を作っていくという感じの中国映画だった。ボクシング・シーンはほとんどパクリと言ってもいいレベルなのに、エンディング・ロールでハリウッド式のスター誕生の勝者の映画になっていた。敗者の映画だったのにというその違和感が日本映画の敗北感に繋がる。

中国マネーの力に日本映画が屈服したという構図だろうか?中国映画がハリウッド化しているのは、インド映画にも言えることで、そこにあるのはナショナリズムの強い力だ。

何故、この映画が気に入らないのか?努力すれば不可能も可能になるという説教臭いハリウッドの夢物語だったからだ。そういう意味では『ロッキー』の方が近いのであり、ちゃっかりロッキーのテーマ曲を入れてしまうところなど確信犯的だった。それはビジネスとして当たればいいという映画資本主義の映画であり、『百円の恋』とは正反対のテーマだからだ。ちなみに『百円の恋』の過去の感想と再見しての感想。

女ロッキーだよね。『ロッキー』はボクシング映画だけじゃなく恋愛映画でもあるわけで、『百円の恋』は恋愛映画だけじゃくボクシング映画でもある。安藤サクラのズボラの女から引き締まったボクサーへの変身は素晴らしい。ボクシングもダンスのように様になっていた。ラストは号泣だ!

安藤サクラは下ろしリンゴを作るんだけど、バナナ(ボクサー)男は肉の塊のステーキで、それが割り箸で噛みきれないから、それまで優しくされたことがなかったけど肉が硬すぎて、泣きながら笑いながらまたボロボロ泣きながら食べるシーンがホロッとする。あれはマジに肉が食いきれないようで。

その後に豆腐屋売りの娘のエピソードとボクシングに徐々に本気になっていく姿が素晴らしい。ボクシングの試合も見せ場としては最高だった。ボクシングの試合が観客と一体感になるような演出(妹の応援とか)だよね。ダウンしたときに回想シーンとか感動的だ。
(2015年02月12日)

『YOLO 百元の恋』の違和感は、ラストのボクシング・シーンはほとんどパクリなのに、エンディング・ロールのおまけ映像が敗者の映画ではなく、ハリウッド式の勝者の映画になってしまっているのが決定的に違うのだ。その違和感がある。

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