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中沢新一の魁としてのエリアーデ

『ホーニヒベルガー博士の秘密 』エリアーデ /著, 直野敦,住谷春也 /訳,(福武文庫 エ 401)

東洋文化を研究している〈私〉のもとに、ある日一人の使いがやってくる。ヨーガの秘法に習熟したホーニヒベルガー博士の伝記を執筆中に亡くなった夫の代わりに、その仕事を完成してほしいというゼルレンディ夫人の申し出に興味をもった〈私〉は、遺された日記から驚くべき事実を発見する。「セランポーレの夜」併録。

大江健三郎がエリアーデについて書いていたので読んでみた。中沢新一のさきがけのような宗教学者が書いた小説。インド宗教体験の世界でヨーガ・マントラとか「死者の書」というような。意識が別世界に飛んでしまって生まれ変わるというような話。幻想文学としても面白い。福武文庫は今は無かった。あの頃(オウム事件の頃)はこういう本が結構出ていたんだよな。

心を最大限に集中するだけで、同じ成果に到達できるのだ。けれども、私にはよく判っているが、現代人はそういう精神的努力が出来なくなった。現代人は衰弱している。ひたすら消亡の途上にある。

エリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』


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