「釜山港に帰れ」を聴きたくなる映画

『密輸 1970』（2023年製作／129分／G／韓国）監督： リュ・スンワン　出演： キム・ヘス／ヨム・ジョンア／チョ・インソン／パク・ジョンミン／キム・ジョンス／コ・ミンシ

1970年代の韓国の沖合で密輸犯罪が盛んに行われていたという史実に基づく海洋クライム・アクション。
1970年代半ば、韓国の漁村クンチョン。海が化学工場の廃棄物で汚され、地元の海女さんチームが失職の危機に直面する。リーダーのジンスクは仲間の生活を守るため、海底から密輸品を引き上げる仕事を請け負うことに。ところが作業中に税関の摘発に遭い、ジンスクは刑務所送りとなり、彼女の親友チュンジャだけが現場から逃亡した。その２年後、ソウルからクンチョンに舞い戻ってきたチュンジャは、出所したジンスクに新たな密輸のもうけ話を持ちかけるが、ジンスクはチュンジャへの不信感を拭えない。密輸王クォン、チンピラのドリ、税関のジャンチュンの思惑が絡むなか、苦境に陥った海女さんチームは人生の再起を懸けた大勝負に身を投じていくのだった…。

夏は海の映画だよな。日活ロマンポルノ前のチープな日活のギャング映画のような（鈴木清順かも）。70年代の「釜山港に帰れ」とか韓国ど演歌がBGMのキムチストーリーという感じで面白い。海女が密輸組織と絡んでドタバタ劇なのだが、海女という設定を上手く使っている。キム・ヘスはこういう役が上手いな。日本だと梶井芽衣子みたいで、もう一人の海女の親分が吉永小百合タイプ。シスターフッド的な裏切られ、それは誤解で、昔から親友だったじゃないかという友情物語に地元ヤクザとベトナム帰りのナイスガイのヤクザと賄賂税関長官の三者三様の中で女たちが利用されながらも立ち上がっていくというストーリー。

映画の雰囲気が70年代のノスタルジックの中に海の密輸という海女さんストーリーが甘くはなくキムチ味な感じなのか。こういうドタバタ悲喜劇を作るのも韓国映画は上手い。ど演歌の世界なんだけど。

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