読書欄だけは押さえておきたい短歌雑誌
『角川 短歌 2022年5月号』
先月から短歌雑誌を読んで現代短歌の動向などを知りたくページを捲ってます。わかりやすい短歌もあればさっぱりわからない短歌もあり、まだまだ全てを理解するのは先になりそうです。でも読み慣れてくると面白いのかもしれないです。
短歌と言ってもいろんなスタイルがあるのだなと。それだけでも勉強になります。
それでも一番面白かったのが読書欄って、どういう読み方をしているんだ。
作品
【巻頭作品28首】馬場あき子
馬場あき子と言えば「鬼」のイメージだけど寄る年には、丸くなるのか「鬼」の歌がなかった。
プランターの中だからへび苺も収まっている感じ。「へび」の表記も家庭菜園化している。「蛇」や「ヘビ」ではない。ただ色の赤だけが毒々しいのか?オランダ苺って?商用苺ということだから菜園用の改良種か。へび苺も野生種じゃないのかもしれない。観賞用。
高橋睦郎、いきなり「姦せりと宣る」という総代の28首
目が恥部だと言っているのだろうか?逆説だな。目が恥部なるものを生じさせ「匿さざるや」の問いかけになっているのか。まあ、そうかもしれない。でも目を瞑って歩けないしな。そっかオイディプス王のことを言ってるのかもしれない。最初に原罪が既にあるということか?
この人は戯曲や小説から得た歌が多いのか。それを自己に重ねているのか?
やたら旧字体が多いので調べて書くのに時間がかかる。そういうことかな。調べなければ読めない。「飛火野」は春日大社に広がる野原か?古事記に出てくるとか。シェイクスピアの戯曲を和歌で詠んだ趣きなのか?でも曠野飛火野は漢字だ。当て字か。こういう短歌は苦手。
読メでポール・ボウルズの話をしていた。妻殺しだったのか?バロウズとごちゃになっているな。
「家のめぐり」安田純生
今読んでいる短歌本、『歌ことば事情』の著者なので興味を持ちました。大学教授で歌人であり文語短歌の権威でもあるようです。文語は難しいけど、先生も苦労しているようで好感が持てる短歌がありました。
よくあるパターンですね。明け方じゃなく昼間でもそうです。鉛筆は持たないですけど(図書館本が多いんで)
「小名木川」川田由布子
調べいい。この歌人は調べがいいので読みたくなる。「小名木川」という場所はどこかわからないが尾車部屋がかつてあって今はないという歌だ。川の流れが諸行無常感を出している。
小名木川の名前がいいのかもしれない。「泣く」が入っている。それも号泣ではなく小さく「泣く」。そして、木の視点。「九階の廊下に見下ろす」が重なる。渡り鳥だろうか?「ヒドリガモ」が二羽遊ぶという描写の上手さ。
若手の力士と「ヒドリガモ」が重なる情景。尾車部屋は力士の麻薬問題や大相撲八百長問題で閉鎖されたのだ。その事件とも思える情景。
かつて優勝力士のパレードとかもあったのだろう。
「嘉(よみ)する」が難しい漢字だ。読めないよな。褒め称え祝い事をすることのようだ。
【大特集】これだけは押さえておきたい古典和歌
読み応えがある特集です。お馴染みの古典和歌や知らない和歌まで、「押さえたい古典10首」が参考になります。「万葉集」「古今」「新古今」「その他」と歌人が10首上げるのですが解釈的なものより調べ(韻律)の良さを言ってますね。その他の「枕詞」とか「古語」の説明はあまり頭に入らなかった。古典和歌も文法的なことよりも調べの良さで覚えるようです。そしてそれを真似していくという感じなのかな。文語短歌もわりと文法とかいい加減なのだと、今日読んだ安田純生『歌ことば事情』に書いてありました。
【歌壇時評】「アイドルの歌 武将の歌」田中萃香
短歌界もいろいろと考えているようでアイドル歌会というのが紹介された。それに付随するオタク狙いですかね。アイドルとの相聞歌とか人気コーナーになりそう。
でもアイドルでもやっぱプロから指導をうけているから馬鹿にできないです。けっこう面白い歌がありました。
読者の声
一通り読み終えて「読書の声」。ここが一番面白く感じるのはまだまだ短歌を読めてないんだな。相変わらす高齢化の「読書の声」の中で輝きを増す19歳女性。先月号にも掲載されてなかった?なんだろう。母か祖母がたまたま短歌雑誌を購読していて継続して読んでいるのかな?気になる存在であります。そういう「読書の声」の期待感って、他の雑誌ではあまりないと思う。
それで彼女の声は、
これは最もな意見だと思います。これは新春特別座談会についての意見のようだ。また現代短歌の活性化とか高齢化問題が議論されたのかな。
読書欄で読者の姿を見守るというパターンもいいかもしれない。二十歳になったら爺ちゃん婆ちゃんがのおめでとうメールが殺到するとか。そういうコーナーではない!
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