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ウクライナ侵攻で漁夫の利を得るアメリカ、追従する日本。次は中国?

「戦争とメディア~21世紀の日本と日本国憲法」

【パネリスト】
加藤陽子(東京大学教授・日本近現代史)
青木理(ジャーナリスト)
高橋純子(朝日新聞編集委員)
水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授・憲法学)
司会:藤森研(日本ジャーナリスト会議代表委員)

主催:学問と表現の自由を守る会 日本ジャーナリスト会議

憲法と学問──パネリスト加藤陽子(東京大学教授・日本近現代史)

歴史学は、『ペロポネソス戦争史』を書いたアテナイのトゥキュディデスが、指導者が戦争を始める前に雄弁な演説によって民心を掴み、その結果悲惨な戦争が行われる。それを分析するのが歴史家でプロパガンダに乗らずに見る必要がある主張する。

日本は満州事変で指導者の弁術に乗りかかって戦争を始めた。それは国内の土地(食料)問題の解決方法を満州に求めた。その結果満州へ開拓者を送り軍人を送り、結果戦争に突入し(戦争と言えないので事変と呼んだ)、戦争に負けると開拓民を棄民していく。

国家は決して民衆を守るものではない。今ウクライナ情勢に便乗して勇ましい言葉を重ねるロシアがやっていることは、かつての日本が行っていたことに近い。それはロシアもウクライナ人の気持ちを考える前にロシアの立場で行動したように、日本も中国人の気持ちを考えることがなかった。

今軍備拡張が行われ緊縮財政(社会保障削減)の中で、軍事費だけが増大し続けている。かつてはGDP1%以下だったのが今は2%に近づき、軍事費では世界第5位。

学術会議の排斥問題。憲法9条と23条の土俵に引っかかる学者を問題視する。学問の自由を保証する23条が根幹となっている。政府はそこを国家権力に沿った学問にしようとする。→映画『教育と愛国』。美濃部達吉の憲法の天皇機関説事件が発端でアメリカに亡命した大山郁夫が『逐条憲法精義』を表す。

大山郁夫はコールグローブの助手として働き、そのコールグローブがGHQの憲法作成に協力する。日本の弾圧を受けた美濃部の言説がアメリカで認められて、逆輸入として現憲法に影響を与えた。

参考動画:【博士と町山※2日連続配信中!1日目】「教育と愛国」公開記念!斉加尚代監督と語る日本教育の危機!

「戦争とメディア」──青木理(ジャーナリスト)

ロシアのプーチン支持が八割を超える。その中で戦争反対するのは、生死を問われることで、その前に歯止めをかけないと権力者の思うままに戦争が行われていく。そのときに戦争のプロパガンダの両輪となるのはメディアなのだ。当たり前の意見がTVで言えなくなる状況は極めて危惧することで、そのことを憂うジャーナリストはいるのだろうか?自問自答しても虚しく、年々のメディアは追い詰められていく。

それは、生活をしなければならないためや、犠牲になるのが本人だけではなく家族をも巻き込むからだ。どうしてここまで安倍一人にやられっぱなしになっていたのか?それは、安倍政権が恐ろしい弾圧をかけたわけでもなくメディアが自主規制して行ったのだ。それは大会社故に会社存続のためもあったろう。世間が知らず自主規制していくなかで声を上げづらい状況が続く。かなり意訳がはいっています。

メディアが出来ること──高橋純子(朝日新聞編集委員)

ロシア報道の中で一人の人間が反対声明をできのか?生死を賭けてしなければならなくなる前に、歯止めをかけなければならない。

権力側の言葉の言い換え(オーウェル『1984』)。戦争遂行を平和のためだと言い換える日本政府。被害者意識を扇動して、それに反対する者を敵対者として分断していく。新聞もTVも関心が薄れて情報番組として娯楽化している。

政治家の押し付け憲法というよじれた関係の憲法という発言によって、憲法改正に進んでいく。メディアはブレーキをかけなかればならないが、真面目なニュースは関心を持たれずバラエティー化していく中で権力側の思うままにされる。

視聴者は、どうしたらいいと答えを求めるが、答えは出て来ないのだ。だからみんなと語り合う必要がある。スッキリした解答を求めていくとプーチンのようなあらぬ方向へ進んだ場合止められなくなる。

ロシアのウクライナ侵攻での国連の活動──水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授・憲法学)

水島先生は面白いんだけど、話があっちこっちとっ散らかるのでまとめる苦労する。まずは、先生のホームページを検索して見ることを勧める。

まず日本で砲弾や劣化ウラン弾の砲弾も買えるという話。砲弾の弾薬が入っていなければ銃刀法違反にはならないのだという。そういう闇ルートもあるのだとか。ホームページで確認してくれ。

そしてDVD二作の紹介。


国連の成り立ち。30年戦争の後にヨーロッパは壊滅的な損害を被ったので、ヴェストファーレン条約で国際法を作って国家間の戦争のルールを作った(守らたためしはないようだが)。

第一次世界大戦でさらに悲惨な戦争が勃発し、大戦後、再び世界大戦が怒らないように国際連盟が出来た。日本も参加して、三年後満州事変を起こす(戦争と言えない)。国家間の戦争は行えないが、自衛戦争は出来る。すべて自衛戦争から始まる。第二次世界大戦後、国連が出来た。

国連憲章は、広島に原爆が落される前に出来たので核戦争を想定していない日本国憲法は核戦争を想定したので、9条が生まれた。

そして冷戦時代に入ると米ソ対立の構図。ワルシャワ条約とNATOが出来た。ソ連崩壊後冷戦も終わり平和になると思ったが地域戦争が勃発する。

テロ戦争や民族紛争、冷戦はおわったように思えたが地域戦争は行われ続け新たな冷戦時代突入(正規軍でない戦争)。そして、今回の最大の危機的状況。30年戦争の後、続く世界大戦の第二次30年戦争と呼ぶ。そして、二つの冷戦時代の70年間。その間にベルリン崩壊があり、プーチンはその恐怖感を知っていた。朝日新聞文庫『プーチンの実像』

これは新たな30年戦争の始まりなのか?もう核戦争に突入していく。

既視感。プーチンの恐怖感は、NATOに対する恐怖感である。若い時に感じた身体的恐怖感がウクライナ侵攻になった。しかしプーチンの誤算だった。

湾岸戦争の時に傾きかけた軍事産業が立ち直った。その構造が忘れなれない。アメリカの軍産複合体は、その時と重なっていく。バイデンは選挙対策によって、強いアメリカアピールと軍産複合体による戦争。

アメリカはヨーロッパでの戦争ある限り安全圏にいられる。

国連安保理は機能しない。 加藤:しかし、経済制裁は日本が被った第二次世界大戦以上にロシアには打撃を与えつつある。
青木:アメリカはロシアの侵攻を情報を得ていたがロシアを止めようとしなかった。 水島:ゼレンスキーとプーチンの停戦協議をアメリカは望んでいない。アメリカは最初からこういう状況を望んでいた?

水島先生お勧め映画『アンノンソルジャーズ』。

かつてのフィンランドの戦い方を今ウクライナがやっている。フィンランドや北欧の若い女性政治家は、NATOと関係を結びたがるが、そのことでロシアは孤立化していく。結局は核配備をしてしまう。ウクライナはモンゴル、ナチス、ソ連相手に戦ってきた歴史があるので、ナショナリズムが強い国。

終わらない戦争に突入するのか?プーチンが頼るのは核しかなくなる。そういうことだ。

戦争を止める方法は、国連の地域的安全保障で民間協力体制を作っていく。ベルリンの壁が崩壊したときは、そういう交流があったという。ベルリンで離散した家族を定期的に会わす。若者は出ていくが老人は留まっているので、彼らを引き合わすことは民主化にもつながったという。冷戦構造の時代でもまだそういう交流は残されていた。

それを今こそやるべきで、それをアジアで広げていくこと(朝鮮問題)で戦争ではなく、共存の道が開けるという(理想論ぽいが)。

ただ今の日本の状況は、再軍備化と憲法改正に傾いている。それはアメリカの属国として勝ち馬に乗ろうとしている。その先に中国がいるのだ。アメリカは日本を盾に(ヨーロッパではNATOを盾にしている)中国の解体を狙っているのだという。

日本の政治状況は世襲議員が多いので、個人のリーダーシップで切り開けない。リーダーシップというとやたら強いナショナリストが出てくる。あと外務省官僚もエリートが多いので保身しか考えない。つまりアメリカの属国として甘い汁を吸う。

第二次世界大戦で、原爆が落される前に天皇がソ連に停戦を求める通信を出したが、陸軍が従わなかった。天皇機関説だから。それをアメリカは傍受していたのに原爆を落とした。それを政治家は言わない。アメリカの属国になっているからとする。だから国際社会で主体的になれない。

水島先生:国連安保理は何もできないが、ロシアを国連に残しておくことで、国連の地域的安全保障で人民の交流手段を残しておく。それは離散した家族を会わす。それによって、その間は戦争中断になるし、そこから民主化が生まれるという希望的観測。ベルリンの壁の崩壊はそういうルートがあったということだ。

ロシアを国連に引き止めておくことでまだロシアに停戦の猶予を与えられる。それを邪魔しているのはアメリカのバイデンだという。かつての国際連盟のように、日本を追い出して決定的な戦争になった。

プーチンは核を使う道しか残されていない。今回の戦争でキーマンになっているのは、アメリカだということ。アメリカが一番の利益を得るようになっている。しかし、核戦争は誤算だという。これからの状況はウクライナがNATOの協力下で反撃してくる。今はその状態でプーチンは追い詰められた。

なにより一番の軍事大国はアメリカなのだ。そして、ヨーロッパから離れているからNATOとロシアが戦争すればとすることはアメリカの利益しかもたらさない。アメリカは漁夫の利を得ることになる。湾岸戦争で軍事産業が復活して、アメリカに利益をもたらした。そのことがいつまでも忘れられずにいる。バイデンは選挙も近づき、そうした勢力(軍産複合体)との協力関係が必要で強いアメリカを示したがっている。

日本はアメリカの属国だから、そういう状態の時に憲法改正論が出てきてアメリカに追従しようとする。それはロシアというより対中国なのだ。ロシアの次は中国というわけだった。恐ろしい話だ。

真逆な結論を出しているのが「今こそ戦争について、考えよう」。これは今の風潮だと思う。両方観て自分の頭で考えよう。



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