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煙たい話

『源氏物語 32 梅が枝』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版)

平安時代中期に紫式部によって創作された最古の長編小説を、与謝野晶子が生き生きと大胆に現代語に訳した決定版。全54帖の第32帖「梅が枝」。明石の姫君の裳着の準備が進められた。源氏は薫香の調合を夫人たちと勝負し、兵部卿宮が審判するが優劣付け難い。明石の姫君には勝てないと他の娘たちが入内を躊躇していると聞いた源氏は入内を延期した。雲井の雁と夕霧は互いを想って誰とも結婚しない。源氏は夕霧に恋愛するよう勧め、それを聞いた雲井の雁は涙を流す。

Amazon紹介文

明石の姫の裳着の儀のために薫物を調合する薫物比べを六条院の女たち(紫の上・花散里・明石の上)と朝顔、光源氏も参加して、判定を兵部卿宮(蛍宮)にお願いする。「絵合」の帖と同じような話だろうか?

こういう話は箸休め的エピソードだが各人物の個性(性格)が出て楽しめる。秋宮中宮は参加しなかったのだが何故だろう?冷泉帝の妻だからか?

光源氏は中国などの渡来ものを取り寄せる(通常なら光源氏が勝ちそうだが)。紫の上は、光源氏にも隠れて天皇家秘伝の調合を試みる(競争心が激しい性格、また薫物爭いはニ種類でいいのに三種類も作ったのは性格が出ているような)。

そしてく朝顔から梅の枝に結んだ手紙が届く。

花の香は散りにし枝にとまらねどうつらむ袖に浅くしまめや

香物の入った箱に添えられている。兵部卿宮に関係を怪しまれるが、それをかわして返事を書く。

花の枝にいとど心をしむるかな人のとがめむ香をばつつめど

花散里は、どうせ選ばれるのは上のものだと一種類しか調合しなかったが、奥ゆかしい方だと。明石の上も工夫を凝らして調合するが………。

そこに朧月夜(人ではなく月だった)が出て管弦楽が催されて催馬楽「梅が枝」が詠われたりした。男たちの和歌披露に薫物爭いはいつのまにかうやむやに煙に巻かれた。

明石の姫のやっかみが酷いので入内を延期することにした光源氏だったが、光源氏の娘なら誰も敵わないと思い知らされて、一人悲しむのが雲居雁だった。そこで光源氏は夕霧をけしかける。

(夕霧)
つれなさは憂き世の常になりゆくを忘れぬ人や人にことなる
(雲居雁)
限りとて忘れがたきを忘るるもこや世になびく心なるらむ

『源氏物語 32 梅が枝』

夕霧は雲居雁の気持ちも知らず首を傾げるほど鈍感男。


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