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イランにも天才子役がいた

『君は行く先を知らない』(2021年/イラン)監督・脚本:パナー・パナヒ 出演出演:モハマド・ハッサン・マージュニ、パンテア・パナヒハ、ラヤン・サルラク、アミン・シミアル

イランの国境近くを旅する家族 小さな次男だけがその目的を知らない
ある理由で国境を旅する家族。気丈な母が車のハンドルを握り、寡黙な長男と片脚にギブスをはめた父と騒がしい次男坊、そして1匹の犬。イランの現実を見据えながらユーモアあふれる家族の旅を描く。巨匠ジャファル・パナヒの息子パナー・パナヒのデビュー作。

巨匠ジャファル・パナヒの息子と言われてもイラン監督はそんなに詳しくないなと思ったら『人生タクシー』の監督だった。この映画もロードムービー的な映画だけど面白かった。

母のパンテア・パナヒハも映画監督で脚本家だった。それに女優でこの映画に出演していた。ロードムービーという単純なストーリーだけに役者の演技がものを言うので、この母親役の人は素晴らしいと思っていた。日本だったら田中絹代クラスだろう。

それ以上にポイントが高いのは子役の主人公だった。彼の明るさが映画を引っ張っていく。ロードムービーなんだが、最初はこの子を施設に預けにいくのかと思った。ストーリーはわかりにくいが、兄の別離の話で次男は寂しがるから伝えていないと展開だった。子役の子はトリックスター的で引っ掻き回し役なのだが、そのロードムービーの中に父との対話があったり(これはイランの家父長制的なものがあるのでよくわからなかったが)、母との別離があったり、また飼い犬の悲しい別れがあったりするのだ。その中で次男は何も知らないで旅をエンジョイしていくその対比が見事だった。
また音楽の使い方も上手いのだ。アラブの流行歌で家族が演技するとか踊るとかドライブ映画の楽しさがある。そういう演出も見事だけど、この映画が一番注目されたのはオバマ元大統領セレクション映画だからだろう。

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