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国家の歴史よりも人物伝

『物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで』安達正勝 (中公新書)

一七八九年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。しかし、希望とともに始まった革命は、やがて恐怖政治へと突入、ナポレオンを登場させ、彼の皇帝即位をもって幕を下ろす。本書は、ドラマに満ちた革命の有為転変をたどりつつ、当時を生きた人々の息づかいな社会の雰囲気を丁寧に追い、革命の時代を鮮やかに描き出す。

歴史の出来事中心の歴史書ではなくて人物中心の物語的な歴史入門書。それぞれの人物は、例えば「死刑執行人サンソン」は歴史の出来事のなかではギロチンの歯車の一人かもしれないが、彼がかかわった死刑囚の最後の証言は誰もが興味を引くものだろう。その一人に彼のかつての愛人がいたりした。

教科書に出て来る歴史上の男たちの陰でギロチンと共に消えて行った女性たち。女たちのフランス革命の物語の豊饒な世界。しかし、彼女らの活躍も女性参政権は与えられず、内助の功の中でしか生きられなかった。

関連書籍:『フランス10講』

『死刑執行人サンソン』


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