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【読書】上坂あゆ美さん 「地球と書いて〈ほし〉って読むな」これまでの半生を一度振り替える
小学校から大学まで、ほぼほぼ同じ年の人との集団で過ごしてきて
沢山の同級生がいても、気が合う人は数えるほどだと自覚しているはずなのに
社会に出てから同じ歳・地元が近い人に出会えると、それだけで運命共同体のような親近感を感じます。
歌人である上坂あゆ美さんの「地球と書いて〈ほし〉って読むな」は、彼女の学生時代から今を振り返ったエッセイ。
鋭い文体が気になっていたところ、同年代(正確には私よりも一つ下)と知り、手に取りました。
時々エッセイを読むと「こんなことまで書いてしまって良いのか・・」と、こちらがハラハラしてしまうことがあります。
上坂さんのエッセイも、壮絶な半生や家族との出来事が嘘のない言葉で書かれていて、途中から半ば怖いもの見たさのような気持ちで読んでいました。
だけれど、同世代だからこそ分かる感覚があり、「よくぞ書いてくれた」と頷いたり
「ここまで深く考えてなかった」と感嘆にふけるような、私の感情がぐるぐると入り乱れる体験でした。
私は学校というシステムが とにかく合わない人間で、毎日同じ場所に行くのも苦痛だし、集団の空気を読んで行動するなんて できないし、あと 何よりも 学校は、どうして本当のこと教えてくれないんだろうと、ずっと思っていた 。
中略
世界が、社会が、どのように回っているかと、自分の性質を踏まえて生き延び方をおおむね 把握するまでに、30年弱 もかかった。 長かった。 そういうのを学校で教えてくれていたらこんなに悩まなくて済んだのに。
学校から社会人になるまで、社会人になってからも「大変だけれど、世界はそういうもんだ。頑張らないと。」と思い込みながら頑張ってきた気がします。
みんな、それで生きてきたから、そこからはみ出たらお終いだと思っていました。
私自身が今、いったん仕事から距離を置いて
仕事や生き方や世界を俯瞰して見れる期間を過ごしています。
その中で、これまで頑張りすぎてたなぁと思ったり、もっとこうしとけば良かったなぁと後悔したりしています。
でも、こんな思いを感じたからこそ、残りの人生をもっと良くしたいと心から願うようになりました。
こうして、自分の半生を振り替えってみることって大事なエッセンスだと、このエッセイを読んで気づくことができました。