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筋肉をつけたら家を買っていた②

家賃の高い部屋。

実は、我が家は『家賃の高い部屋』だ(2023年10月初旬現在)。
六年くらい前に入居してから自分の事情も変わってきたため、身の丈に合わなくなってきたのである。
そこで、2022年末に新しい物件を探していた。
内見RTAというレベルで一日に複数の物件を漁ったのだが、現在は家賃相場が高くなっているため、ワンランク下げてもそんなに家賃が変わらないという事情を知った。

中には、ゾゾゾポイント3.5くらいの物件もあった。
壁に謎の日焼けがあり、大きさと形状から遺影があった場所では?となったのだ。
不動産屋さんいわく、家主さんはご高齢で、施設で亡くなったとのことだった。
なので、事故物件というわけではないらしい。

とは言え、遺影の日焼けをそのままにして貸さないで欲しいし、あとで別の不動産屋さんに問い合わせたところ、何故かその真上の部屋は長い間入居者がいないという事実を知った。なにそれこわい……。
「下階が夜中に煩くて……」と管理会社に相談したら、「下階の方は(お亡くなりになったので)いらっしゃいませんよ」みたいな流れがあったかもしれないと想像力を働かせてしまう。
施設に入られた方は帰りたがるので(身内がそうだった)、『還ってきていた』のかもしれないとか……。

他にも、高級築浅と謳っているものの、そもそも近年の建材建築費高騰で、実はペラッペラという物件も見た。
物件価格は上昇しているものの、高級のレベルが下がっているところもあるようだ。
どうやら、新築や築浅だからいいというものでもないらしい。

何がいいのか分からなくなった私だが、2023年元旦に初詣でおみくじを引き、「家移り さわがぬがよし」と書かれていて冷静になり、内見RTAをやめた。
神様が「騒ぐな」とおっしゃるなら従うしかない。

もう、馬車馬のように働いて家賃を払い続けるしかない。既に馬車馬だが、新しく舗装をされていて走りやすい道もあるかもしれない。年始は、そう腹を括ったのであった。

まさかこの忠告のお陰で、物件購入という選択肢が出てくるとも知らずに……。

そうだ。家、買おう。

おうちを自由に弄り回したい。好きな壁紙を貼りたい。
友人達が続々と自分の家を手に入れていたこともあり、私も「購入」という選択肢が過ぎった。
東京では物件価格が高騰しているというニュースが連日のように流れる中、無謀な決断である。

しかし私には、幽落町や幻想古書店シリーズが有り難くもヒットした時の貯金があった。いつ仕事がなくなってもいいようにと使わずにいたのだが、嬉しいことに仕事は頂けているので、ここで使ってもいいだろう。

メインバンクに行くたびに「投資をしませんか?」と言われていたのだが、「(いずれ)家を買うかもしれないので」と断っていたのを現実にしよう。
「素敵ですね! どちらに物件を買われるのですか?」と聞かれた時、「いや、直近で予定はなくて……」と返した際の、「???^^」という行員さんの表情が忘れられないのだ。

都外の中古ならばいけるかもしれない。
そう思い、6月末に千葉県の中古マンションの内覧を行った。
私は集合住宅暮らしが長かったので、一軒家という選択肢はない。
それに、セキュリティが高い物件という条件は外せなかった。

その際、担当してくださった不動産屋さんに、自分の経済状況を伝えた。
自分は個人事業主だし、小説家というギャンブラーみたいな仕事だ。しかも、業界は日に日に先細っている。何の保証もないので住宅ローンは組めないだろうし、一括ニコニコ現金払いという選択肢しかないのだ。
そうお伝えしたところ、不動産屋さんはキョトンとしていた。
「いえ、お客さんでしたら住宅ローンを組めますよ」

なん……だと……。

個人事業主は住宅ローンを組むのが困難かと思ったのだが、今はそうでないらしい。
昨今、「フラット35」というものが登場したのに加えて、現在は銀行同士で低金利競争が勃発し、住宅ローンを組むハードルが下がっているとのことだった。

それに加え、私は絶え間なく仕事を詰め込んでいたためか、結果的にそこそこの期間に亘って年収が安定していたので、銀行に信用があると思ってもらえそうだという。頭金もちゃんとあるし。

私の中で、一気に選択肢が拡がった瞬間だった。
購入を前提に動かなければ、こんなことを知る由もなかった。

やはり、筋肉をつけて活動的になったお陰だ。
ありがとう筋肉。ありがとうフィットネス。



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蒼月海里
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