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ゼノスは我が友か

FF14をフィナーレした

この日記はFF14のネタバレしかない話に個人的な感情を絡めた日記なので未プレイの人はブラウザバックするのではなく、読んだ後に記憶を消してFF14暁月のフィナーレを最後までやってくれ。頼んだよ。
というわけで、2年前に発売したFF14暁月のフィナーレを今になってクリアした感想を語る。
私個人としてはウリエンジェの不器用さや優しさがとても好きで、何となく同じような事を思ってる人は多そうだとも感じた。
しかし、今回はこのストーリーを進めてて意外だった所にスポットライトを当てて語っていきたい。それは、プレイヤーキャラクターの事を「我が友」と呼びつつもアリゼーに説教されたり、挙句の果てにはフォーラムで「あいつが出てきて最後を汚した」などと書かれてしまったゼノスの事だ。

紅蓮の解放者のゼノスは主人公を終始戦闘狂扱いしてくる

オルシュファンと言う万人から好かれるイイ友

ゼノスを語る前に、外せない人物がいる。
それがオルシュファン。拡張「蒼天のイシュガルド」で語られる話ですが、主人公たる光の戦士(通称ヒカセン)一度は作中世界のエオルゼアの危機を救い英雄として扱われました。しかしその後、女王暗殺の冤罪容疑によって救った国を追われる事となる。
そこで「英雄」と言う称号を剥がされたヒカセンは、かつて冒険の中で利害関係なく助けたオルシュファンの手助けによって再起のきっかけを得る。
ヒカセンは、英雄ではなく、いち冒険者としての行いを見てくれていたオルシュファンから「友」と呼ばれ、実際利害関係のない関係を築いてくれる。キャンプ・ドラゴンヘッドで彼の言葉、案ずるな。お前の味方は、ここにもいるのだ。と。これに救われたヒカセンは数え切れないだろうと思う。
そして、その後オルシュファンはヒカセンを庇った事により命を落とし、「英雄に…悲しい顔は似合わぬぞ…」「やはりお前は笑顔がイイ…」と、最後の言葉を残す。

オルシュファンは「ヒカセンは何のために戦うのか」をあらゆるキャラが問うてくるメインストーリーにおいて、たびたび登場しその大きさを示してくる。
「雪の家」の友は、それを失った事によりヒカセンにとって永遠で唯一となったのだろう。
しかし一方で、オルシュファンの残した最後の言葉──これは呪いの言葉と言ってもいいが、「英雄」としてヒカセンを宿命付ける言葉でもあるように思う。

一方で、暁月のフィナーレの最後、世界の終焉を防いだヒカセンの前で、ヒカセンと一戦を交えようとするゼノスは問いかける。
「お前が比類なき強敵であったこと。最後の一息すら絞り出すような戦いができたこと。すなわち……」
「己が命を、燃やすことだ」
「思い出せ……! 武器を手にし、技を会得した時の高揚を。新たな脅威、いまだ踏破せぬ頂を目にした時の欲を!」
「命を費やさねば得られぬ歓びがあったはずだ。なぁ……「冒険者」よ」
と。
ここで選択肢の中で「お前にはうんざりだ」などと並んで、「ああ、まったくその通りだ」と言う選択肢が出る。これが出るまであいつの事を友だと思った事は1回もなかった。
しかし、ここで私は迷わず「ああ、全くその通りだ」と答えると、分身たるキャラクターは悪い顔で笑ったのだ。
この時私自身も、自分でもとても意外だったのだが、確かにゼノスは友と呼ぶべき存在なのだと感じたのだ。
ゼノスの言う「狩り終えた獲物には興味が湧かないだろう」も、正直気持ち分かるものな。(これについての私自身の話は後述)

ヒカセンにとって「負けてもなお成長して喰らい付いてくる存在」って言うのがとても貴重で、しかしそいつは世界に害をなすから倒さなければならない。選択肢を選んだ時の悪い顔まで含めてまったくリアリティのある会話だと思った。

私自身の事を少し語ると、
随分前の話にはなるのだけれど、長期人狼で「俺たちのコミュニティの村人は最強だから!」みたいな日記を書いてる人の募集してる村に乗り込んで、人狼でその人達の理論を崩して勝つ、と言う感じ活動していた。
強く、一緒に戦える人を探していた時期がある。
当時は村:狼で勝ち負け半々ぐらいのゲームなのだけれども、半年ぐらいかけて11連勝した。その後もチャレンジを繰り返していたけれどほとんどの村で勝敗の流れが読めて、運もかなり引き寄せた。そう言う時がありました。
ヒカセンと言うあの世界におけるトップオブトップに共感っていうのも我ながらキモい所がある。しかし少なからず言えるのは、大体戦いに勝っていくと相応の人間性や振る舞いを求められる様になったり、有名勢的に変に注目されて不利益を被ったりする様になったり、倒す相手が居なくなってライバルに飢えて、飽きてきて喧嘩をふっかけに行ったり……。
こう言うのはあまり共感されにくい類の感情だと思っていたので、FF14という一種「マス向け」の物語で描かれたのには驚きました。

紅蓮の反逆者を終えた時のゼノスに対する印象は、こいつマジなんやねんストーカーがヨォ、そのくせ最新拡張の画像には味方の位置にいるし、どの面下げて来るんだ?って感じでした。しかし、暁月のフィナーレでのゼノスの感情の動きには妙なリアリティがありました。
さらに言えば何度も負けてもあそこまで追いかけて戦いに来る相手がいると言うのは、古代人も乗り越えられなかった危機を救ったヒカセンにとっては、実際に最高のご褒美だったんじゃないかと思う。
ヒカセンは、終焉を謳うものを倒し英雄となり、ゼノスの居る次元の狭間で冒険者へと還り、そしてまた英雄として現実の世界へ戻ってきたのだ。
そして、劇中でアリゼーがゼノスに語った様に、「自分に何が与えられるのか」を受けて真剣に考えたゼノスは、オルシュファンとは形は違えども、間違いなく友であったと言える。

それにしても、一人の友は自分の為に倒れ、もう一人の友は自ら手を下したヒカセン。
彼、あるいは彼女が今後どの様な人物として描かれていくのか、個人的には楽しみで仕方がない。

MMOと言うジャンルの都合上、例えそこにプレイヤーとの乖離があろうとも、私はシナリオチームが「世界最強の人物」の葛藤を描く事を強く歓迎したいと思う。

この記事を書いている間に次の拡張が発表された様だ。
以下は主人公の、トレーラーからの引用画像。

ニヤリとするときはいつも左頬が上がる

そう。英雄と言う役割からから解き放たれたFF14の主人公には、やはり不敵な笑みがよく似合う。
同じ様に主人公から不敵な笑みを引き出した引き出したゼノスは、やはり我が友と呼ぶに相応しいのだと思う。
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