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サテライト

月が綺麗だ。ぼんやりと黄色い光は青みがかった黒い空であまりにも美しく輝いている。満ちても欠けても、ふと足を止めてその姿を見つめてしまう魅力がある。
月はしばしば想い人に姿を重ねて言葉を綴られる。僕もどうやらその一人らしい。明確な相手がいたわけではないが、誰かを月に見立てた人の話を書きたくなってしまった。魅せられてしまったようだ。

「サテライト」という詩を書いた。

想い人がいた彼はきっと想いを伝えられないままその人には会えなくなってしまった。もう会えないことがわかっていながら、その人と出会った場所でまだ姿を探している。ふと我に返った深夜2時にヘッドホンからはサカナクションが流れていた。バンド名を置き換えた、ピスケス/魚座のくしゃみ、なんて割といい洒落でしょう?
想い人を月に見立てた話ではあるが、月という名前は使いたくなかった。逆に想い人からみたら彼は自分の周りにいた男の一人でしかなかったのかもしれないな、なんて思ったりもしたので、衛星・サテライトという名前をこの話にはつけたのだ。

想いはその人がいなくなったことで、きっと祈りのようなものになるのではないか。無事や安寧、いつかまた会えることを願って。
絵にはそんな考えから祈る男性の姿を描いた。
個人的には、彼はその想い人へ二度と出会わないほうが美しいとも思ってしまう。

月が綺麗ですね。
ふと見上げた夜空に輝くとびきり大きな星の姿に言葉が漏れる。愛を告げる海の先の言葉に、この景色に向けた純粋な気持ちを当てはめるのにも納得がいく。表現としては美しいが、ちょっと洒落た告白として実際使うことはあまりおすすめできない。

月をなくしたあなたが、あのサテライトに祈り続ける姿は見たくないからね。

サテライト

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