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僕の絵で笑う猫

僕の絵の中には猫が隠れていることに気づいただろうか?まあ、たまーに描き忘れているが。
点の目、波のような口に3本の縦線、左右2本ずつのヒゲ。さあ完成だ。彼の名前はニヒル。ニヒルな笑みでしょう?

男の子か女の子かとかは決めてない。道を歩いてる時に野良猫が横切った時、あんまり気にしないでしょう。彼の性別はまあそのくらいのことなのだ。

高校時代、過去の先輩たちが使っていた画用紙を貼り付ける木製のパネルに落書きがされていた。その中に、口を開けた猫が描かれていたのだ。猫か…。その絵を真似て猫を描いた。そして何故か、僕はその口に3本の線を追加で描いた。笑ってるな…ちょっと可愛いかもしれない。友人になんとなくその猫を見せると、「なにその猫!可愛い!ニヒルな笑いしてる!」と、大層気に入ってくれた。
ニヒルな笑い、確かに。
じゃあ、君は今日からニヒルだ。

これが僕らの出会いである。

それから僕は、色んな要素を詰め込んだ絵を描くようになった。そのごちゃごちゃとした画面の中に、こっそり彼を忍ばせた。次の絵も、その次の絵も。いつしか目と口だけ描くだけで隠すようにもなり、手を替え品を替え姿を変え、彼は僕の描くどんな世界にでも旅をしてくれるようになった。

いつしか絵をまとめた小さな作品集を展示で販売したりするようになった。遊びに来てくれた友人が僕の作品集を買って「サイン書いてよ。」と言ってきた。そんなものは持ってなかったのだが、折角なのでAOSHUとカチカチの字で書いた。味気ないと思ったため、少し大きく書き過ぎたOの中に顔を入れて耳をつけて小さなニヒルを描いてみた。「いいサインだね、可愛い。」友人はそう言ってくれた。
ニヒルは、僕の名前そのものに居てくれるようになった。

展示をすると色んな人が来てくれて、色んな目で僕の絵を見てくれる。何かを感じてもくれる。それを聞きたいし、僕も描いた絵たちの話をしたい。そのきっかけをニヒルは与えてくれるのだ。にゃんともありがたい猫である。

あ、僕の絵を見てくれている人がいるね。
さぁ、行こうかニヒル。
また1行目から話をしよう。


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彼を見つけてみてくださいね。



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