中2理科の化学反応式を【理解】する まとめページ
おはなしが長くなってきたので,一旦まとめましょう。
(1)物質名反応式
化学反応式では,物質変化の途中を無視し,変化前後の変わらない状態に注目する。
酸化銀は全く性質が違う2つの物質に分解できる。
【熱分解】 酸化銀 → 銀 + 酸素
【実験を記述する意味】酸化銀から銀と酸素が生じた。
【成分としての意味】 酸化銀の成分は銀と酸素である。
(2)元素の定義
物質は分解できるが,限界がある。
【熱分解】 炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水
【電気分解】 水 → 水素 + 酸素
【元素】 もうこれ以上分解することはできない成分を元素という。
(3)原子論的世界観
【原子の定義】 原子は不生不滅で分割不可能。
原子の知識は実験からは得られない。自分で想像するしかない。
原子とは世界観であり,社会が共有する現実世界の解釈である。
(4)分子のイメージと分子式
【原子】 様々な元素に重さが異なる球のイメージを割り当てたもの。
【分子】 水,酸素,水素,二酸化炭素などの形を分子式でイメージ化する。
【分子を作らない物質】 組成式で表す。
固体は多数の原子からなる集合体であるとイメージする。
多数の原子から1つの原子を代表させ,一つの元素記号に置き換える。
(5) 元素と単体の区別
【中学校の元素の定義】 元素とは原子の種類である。
【単体】 一種類の原子からなる物質
【化合物】 二種類以上の原子からなる物質
【高校の元素の定義】 元素とは物質を構成する基本的な成分である。
【単体】 一種類の元素からなる物質
【化合物】 二種類以上の元素からなる物質
(6) 炭素の燃焼反応
【実験】 炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
【原子論】 $${C + O_2 → CO_2}$$
化学反応とは全く異なる物質が生じる変化。
原子論では化学反応を原子の組み換えであると解釈する。
だから反応式の前後で原子数が変わらないようにする必要がある。
(7) 燃焼と酸化反応
【燃焼=酸化反応】 有機物 + 酸素 → 酸化物( = 水 + 二酸化炭素)
(8) 金属の燃焼
【燃焼,錆びること=酸化反応】 金属 + 酸素 → 酸化物 (固体)
(9) 酸化還元反応と金属の序列
中学校の定義
【酸化】 炭素 + 酸素 → 二酸化炭素 :酸素がくっつく反応
【還元】 酸化銅 → 銅 + 酸素 :酸素を失う反応
【酸化還元反応】 酸化銅 + 炭素 → 銅 + 二酸化炭素
物質には酸素との「結びつきやすさ」の序列がある。
【酸化】 金属が光沢を失うこと
【還元】 金属酸化物が光沢を獲得すること
(10) 硫化反応と組成式
【固体同士の化学反応式】 $${Fe + S → FeS}$$
固体の鉄と硫黄が1:1の原子数比で結合して,固体である硫化鉄に変わる。