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マヌカシュクメルリバブ

 あんまりにも周りがゲホゲホしていて、自分も風邪を引いたような気がしてくる。そういうのはよくない。思い込みってけっこう激しいもので、濁流のように自分を飲み込んでしまう。負けないようにマヌカハニーの飴玉を三個も舐めたら痛いような気がしていた喉が収まった。一個じゃ足りなかった当たり、思い込みは怖い。信じる力は正も負もある。予防を込めて葛根湯は飲むけれど、コレは肩こりにも効くからノーカウントなのだった。なんだか風邪っぽい後輩に優しくすることで逆張りしようとしている自分も察知する。優しさに偽善も糞もなし、皆幸せならヨシという派閥なのでそのまま優しくした。マヌカハニーの飴玉をひとつあげた。

 いつも仕事が終わる三〇分前くらいから冷蔵庫のなかを思い出して今日の晩ご飯を吟味し始める。小松菜、人参、以上。タンパク質がないことに危機感を覚え、肉を買うことを決意する。そうすると昨日見たシュクメルリが映像として現れる。ジョージアの郷土料理らしい。何が含まれるのか、一応ギリギリまで真剣に働いているのでメール画面に文字を打つのと並行しながらシュクメルリを夢想する。たぶんチーズが入っている、鶏肉の牛乳煮込み。そんなかんじだ。
 シュクメルリたるや、よくわからないまま終業の合図と共に職場を飛び出した。途中出会った後輩の晩ご飯を案じ、口うるさいおかあさんのようになってしまう。チキンラーメンでもいいから卵を載せなさい。新機能・卵ポケットが泣いちゃうよ。
 木曜日は肉屋が閉まっている気配がする。横断歩道で検索して、がっくりせずに済んだ。やっぱり定休日だ。ここでがっくりしちゃうとコンビニ弁当確定だ。わたしのやる気はとても儚いので姫のように優しく扱う。
 途中みかんを買う。目的地をスーパーに変え、納豆とひじきタマネギ、鶏もも肉を買った。そう、鶏モモなのだ!モモ!わたしのタンパク質は納豆豆乳鶏胸肉で出来ているから、これは本当に稀なこと。たぶんカラダが元気出したいのだなぁと知性が察知して、シュクメルリはシュクメルリじゃないくらい野菜にまみれたものになった。これは野菜と鶏モモの豆乳煮込みだ。おいしかった。(そう、しかも豆乳)
 あったかいお茶を大量に用意してジャイアントコーンも食べた。カラダが喜んでいる。まだやっぱり若干喉が痛い気もせんでもないけれど、私の栄養素はカンスト状態だろう。戦闘能力だってある気がする。やめとこう、戦わずに寝よう。

 湯船にお湯を張りながらシャワーを浴びる。最近器用にこれができるようになった。うちの風呂はシャワーを出したら蛇口からはお湯が出ない。
 柚子のバブ。黄色いからビタミンありそうとなんて思う。なんでもいいから元気になりたい木曜日。

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