隣り合う

大きな国にも戦はあるよと教えてあげたくて
タイムマシンを作った何とか博士

憎悪で作り上げたその国で王様がノスタルジーに浸り思い出す
あの憎しみはどこからきたんだったかな
あの怒りはどこにいったんだろうかな

小さな執務室で大きな陰謀を練り上げ、
世界中に飛び火するように、解き放った
粘土細工の恨みが、苦しみが、
歩き出せば生命だった
あとはみんながいなくなるのを待つばかり
瓦礫の下のくすぶった炎はまだ燃えている


国境のない未来を見てみようと
タイムマシンに乗り込んだ何とか博士

大きな国で消えゆく言語でジプシーの老婆が唄いだす
おやすみとは眠りゆくものへの愛だったか哀しみだったかな
さようならとは永遠だったか明日を含んでいただろうかな

ちいさくてもたくさんを殺せる
なくならなければ気づきもしない
呑気にゆるやかに穏やかに朝から夜を生き
潜んだ狂気を含んだあたたかい日がじんわりとあなたを温め
内臓が腐り落ちても食べるまで分かりはしない

隣り合うためには腐臭がしても
息をつめ、
いたわるのだ隣人を

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