(詩)ぶたになりたい

人間でいることがいやになったり
逆に
人間としての幸せを充分に味わい
人間でいることに満足出来たら
ぶたになりたい

そしてぶたの苦しみを経験し
ぶたの苦しみや羞恥を理解したい
そして人間としてもぶたとしても
ちっとも
世の中の役に立たなかったわたしは
ぶくぶくぶくぶく
肥えるだけ肥え
最後に死んだ時
みんなの肉になりたい
飢えた子どもたちに
わたしの肉を食べさせてあげたい

その時わたしは
空に浮かぶまっ白な雲になって
お腹いっぱいになった
子どもたちの笑顔を眺めているのだ

ぶたになりたい
人間でいることのかなしさに
或いは
人間でいることの幸せに疲れたら
ぶたになって

家畜小屋から見える
風に揺れる草原の草たちを
眺めていたい
ただじっと眺めていたい

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