(詩)冬の野に咲く花であれ

冬の野に咲く
そんな花があってもいいだろ
ちょっと変わり者だけどさ
そんな花があってもいい

実際そんな花だって
人間だって
いるにはいるさ
何の因果か
わさわざ凍りつく
冬の野を選んで咲く花と
凍り付く冬の野を
ひとりさみしく生きるやつと

華やかだったり
あったかかったりする
街やぬくもりから
ひとり離れて

あゝ大方
誰かを泣かせた
誰かに死ぬ程さみしい
思いをさせちまった
そんな因果があるんだろって

冬の野に
凍りつく笑みを浮かべて
やがて射すまぶしき
春の陽の夢に散りゆかん
ひとりぼっちで散りゆこう
そんな
そんな花も有りか
そんな花でも花は花

冬の陽のわずかなぬくもりに
かじかむ掌を合わせ
微笑みながら散りてゆけ
因果のつとめの成果なる
種ひと粒を
春の野に残して

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