(詩)赤い靴になりたい

その子は赤い靴が
ほしかったんだ
バレリーナみたいな赤い靴
だけど家が貧乏でね
だからいつも
靴屋さんの窓ガラスに
鼻くっつけて見ていた

だけどその子
死んじゃった
戦車にひかれてね
その子はいなくなって
赤い靴だけが残った

赤い靴になりたい
そしてその子といっしょに
踊りたかった

そりゃ気持ちのいい
潮風が吹いて
その子の髪をかき回して
ぐちゃぐちゃにする砂浜で
戦車のいない
この地球の上で

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