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(詩)遠足
遠足の思い出はいつも
風
思い出すのは
見知らぬ街の
名も知らない丘の上に
咲いていた野の花と
午後の丘に吹いていた
あの日の風
キラキラ子どもたちの
まぶしい笑顔
かつて少年と少女だった
ぼくたちも
ぼくたちの微笑みも
一瞬の風と木漏れ陽
見知らぬ街の風にとっては
見知らぬ街の子どもたちの
ぼくたちの方が
よっぽど儚い
風や木漏れ陽に見えたろう
風少年と木漏れ陽少女たち
お菓子
おにぎり
お弁当
汗びっしょりで握った
あの子の手のひら
遠足
遠足は大人になった
今はもう
遠い遠い思い出
遠足の思い出は
やっぱりいつも
見知らぬ街に吹いていた
旅人のようなあの風