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(詩)孤独の世界

きみが生まれて初めて
さびしさを知ったのは
何才の時だったろう

あれからきみは大人になり
恋もして
気の合う仲間も
できたりなんかしてさ
何とかさびしさを紛らしながら
ずっと生きてきた

だけどきみはふとした瞬間に
思い出してしまう
あのさびしさを思い出し
肩を震わせる

生きていることは
どうしてこんなに
さびしいんだろう、って
ため息をつきながら

だけどさびしいのは
きみ一人じゃない
本当はみんな
さびしいんだぜ
だけど他人には
気付かれないように
楽しそうな振りを
して見せているだけ

つまり誰だって
さびしいってこと
だけどそれは
仕方のないことなんだ

だってこの世界は
さびしさで出来ているから
昔々神様は
さびしさのあまり
自分を慰めるため
この世界を創った

だけど神様にも
新しい女ができてさ
だから今はもう神様が
この世界を顧みることはない
なーんてね

神様はこの世界に
自分のさびしさを
置き忘れて来てしまった
この世界は
神様に忘れられた
さみしさのかたまり

だからいつか神様が
ふとこの世界という
玩具のことを思い出した時
もうあんなものは必要ないって
ぽいっ、と
捨ててしまうかも知れないね

その時ぼくたちの
きみの
神様から忘れられた
あのさびしさは
ひっそりと帰ってゆくのかな
神様の胸の中へと
やすらかに眠るように

帰っておゆき
ぼくたちの大切な
寂しがり屋のさびしんぼの
さみしさくんと
さびしさちゃん

さようなら、そして
ありがとう
ぼくたちの孤独の世界

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