古典落語「好き」「嫌い」の傾向
落語の演目についてXでちょっとした話題になっています。
こういうデータ、面白いですね。もちろん調査の仕方によって違うでしょうし、「嫌い」にランキングされたからといって、その噺が悪いとかつまらないということでは無いと思います。基本的には、演者さんによるものだと思いますし、どの噺にもたくさんの魅力があります。
しかし、台本書きとしてはこういうデータは何かしらの役に立てたいものです。「好き」「嫌い」からどういう傾向が見えてくるでしょうか…?
【好き】
・愉快なストーリー
・賑やかなシーンが多い
・悪人があまり出てこない
・口演時間は短め
1位の「死神」だけやや趣が違いますが、これは別格ということではないでしょうか。全体的に明るい噺が人気であることがわかります。
【嫌い】
・辛い場面や陰惨なシーンがある
・下ネタの要素がある
・怒っている人がよく出てくる
・口演時間が長め
2位の「鼠穴」は結局、夢オチなわけですが、夢とはいえ辛い場面を味わうことに抵抗感があるのかもしれません。
では、このデータを台本書きに活かせるだろうか?
明るく楽しく賑やかで、下品さや陰惨さとは無縁、良い人や愛すべき人たちばかり出てきてストレスが溜まらず、短くサクッと笑えて終わる噺。
これが書ければそりゃあ需要があると思います。
けど、そう簡単に書ければ苦労しないですね (^_^;)
考えてみれば、「苦手だなあ」と思う人が多い噺だって、きちんとこうやって残っているわけです。そして多種多様な噺があるからこそ、文化として発展・継承されてきたのでしょう。傾向と対策も大事ですが、結局のところ、台本書きにとって最も大切なのは…。
とにかく、たくさん書くことでしょうな。。 ( -ω- )
好まれる噺の傾向は傾向として踏まえておくべきだけれども、それを気にしすぎて筆が進まないようだとそっちの方が問題なんですよね。
どんな噺でもいいから書いて書いて、築いた石ころの山の中に、何か一つか二つでも、輝くものがあれば…の精神で頑張っていこうと思っております。
ちなみに私の好きな演目は、ころころ変わりますが今は「七段目」とか「蔵丁稚」みたいな、芝居に熱中して失敗してしまう人の噺が好きですね。
嫌いな演目は…今のところ、特にありません。さすがに三回連続とかで同じ噺を聴くと、飽きるとは思いますが(笑)