幼子を迎えるおもてなしと、子守りの緊張を癒す〝歌日記〟
この画像はおよそ二年前、親友が初めて出産するという日に撮ったものだ。
出産予定日から二週間が経ってものんびりお腹の中で過ごしている赤ちゃんに、そろそろ生まれてもらわないとね、ということでついに「今日生みます」という連絡をもらったその日。
家にいても落ち着かず、とにかく電車に乗ろうと思い、何となく葛西臨海公園で降りた。この日はとってもいい天気で、空は青いし、噴水には虹がかかっていたりして、全てのものがきらきらして見えた。
いつか親友の子どもに生まれた日の空を見せたいと思って、命懸けで出産に挑む親友の代わりにたくさん写真を撮った。
──あの日から一年と十ヶ月。
ついに私は、親友の娘の子守りを引き受けることになった。
そもそもなぜ私が子守り役なのかといえば、親友が産後初となる単発の仕事をするのに、私の家が一番働く場所に近いという、ただそれだけの理由だった。
だけどそれはとても大事な理由だし、私は私で親友の娘と親友になりたいと思っていたから、互いにとって都合が良かった。
一歳十ヶ月の女児。まだ喋らない。
泣くことはほぼない。
煮込めば野菜も肉もよく食べる。
そんな感じ。
ざっくりした前情報を心に刻み、私からは細かい質問をして、なるべく身軽に到着してもらうように買えるものは事前に買っておいた。
私は女児と過ごす数時間にどきどきしていた。実を言えば、このくらいの歳の子どもの世話は初めてではない。むしろ男の子に関しては慣れている。
だけど、「女児」は我が家に初上陸だった。
私自身は三姉妹であるし、一応私も女であるのに、なぜか「わからない」という思考に陥って、ひたすらシュミレーションをする。
結局そんなことをしても無駄だから直ぐに諦めてとにかく家の中を掃除した。大掃除だ。
「どこを舐めてもいいですよ」と胸を張って言えるくらいに綺麗にした。
いつもそう。誰が来る時でも、私ができる唯一の「おもてなし」は家を綺麗にすることなのだ。
大して気も回らないし、美味しいご飯も出せないけど、来てくれた人からは「家綺麗にしてるね」と言われる。もちろん、いつも綺麗なわけではない。
小さい子どもが遊びに来る時、私は部屋を子どもが暮らす設定にする(物をどかすとか、角をガードするとか)他に、片付けすぎないコーナーを作るということを意識する。
〝清潔感〟と〝雑感〟
「私はそんなに几帳面な人間ではありません。子どもが汚しても大丈夫です。私もだいぶ汚れています」というアピールをするということ。
部屋を綺麗に片付けすぎると小さい子を持つ親は必要以上に萎縮するので、あえてリビングの一角をごちゃごちゃとしておいたり、だらしない服装でボリボリと腹をかいたり(嘘)を見せつけて、まずは親にリラックスしてもらう。
そんな努力もあって、親友は安心して出かけて行った。
私は親友の娘と共にリロ・アンド・スティッチを見ながら、あんなことやこんなことをして遊んで、無事に一日を終えた。
いつも22時就寝という彼女も、母のいない緊張感の中、昼寝もせずに知らない女と過ごした疲れで20時に寝落ちた。
寝かしつけはしなくてもいいや、と思っていたけど、親友が事前に送ってくれていた音楽を流したら本当に「寝モード」に入ったので面白くなって寝かせてしまった。
その曲というのがこちら。
〝きょうのおやすみ〟
2分くらいの曲がエンドレスに流れる。
これにすっかり私自身がはまってしまった。
極上の癒し声が「きょうはね、きょうはね」と歌った後にセリフが流れるのだ。
たとえば
こんな感じに。この、「6時に~」の部分のセリフを自分事に置き換えてみる。
こういう替え歌をずっと脳内で繰り返している。これがとても楽しい。歌う日記のような感じ。
最近ちょっと忙しいけど、歌う日記ならできそうだな、という人に試してほしい。
なんのはなしですか