見出し画像

ハシビロコウに恋をした⑥

その日の夜、夢をみた。

気絶して倒れる私の元へ、両腕を広げ飛んで来る橋羽さんの夢。

橋羽さんの長い腕は、まるで羽ばたくようにゆっくりと動いている。

そして、鋭い、あの下三白眼は、確実に私を捉えていた。


橋羽さんの腕の中で、息も絶え絶えな私。
そんな私の耳に、突如聞こえて来たのは銃声のような爆音!!


カタカタカタカタカタ!!!カタカタカタカタカタカタ!!!!


「きゃあああああぁぁぁぁ!!!!!!」

自分の悲鳴で目覚めた私は、首筋を大粒の汗が流れるのを感じた。
呼吸を整えながら、あたりを見渡す。
だれもいるはずのない部屋の中に、橋羽さんの下三白眼がキラリと光ったような錯覚をした。

時計を見ると、まだ朝の4:30だった。


今日、橋羽さんに謝りに行くことがかなりのプレッシャーになっているようだ。

大丈夫。
取って食われたりはしないはず。

薄暗い部屋の中で、何度も自分に言い聞かせた。



(続く)



「カタカタ」とクチバシを打ち付けて音を出す
クラッタリング。
顔見知りへのコミュニケーションの一つ。
思った以上に銃撃戦のような音を出す。





いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集