娘の指をたべました
生まれてすぐに
たべました
そうするより他になかったのです
そうでないと
娘のいのち
丸ごと
失うところだったのです
わたしの体に宿った娘は
わたしのものでした
すべてはわたしが決めることでした
わたしは強い意志を持ちました
指をなくした娘が
苦労して生きていくであろうことは
わかっていました
だから
娘の苦しみを
すべて引き受ける覚悟で
生んだのです
生みたかったのです
母親になりたかったのです
だけど
今になって
ようやくわかりました
娘の苦しみを
分け合うことなど
たとえ母親であっても
できないのだと
わたしは愚かでした
娘の苦しみは
娘の苦しみは
ずっと
娘だけのものでした
#詩 のようなもの