今日が雨なら (短編小説)
心地良い音量で「レットイットビー」が流れている。だけどこのカフェで流れるレットイットビーを歌っているのはビートルズ本人ではないと気づいたのは少し経ってからだ。
子供の頃、家では両親がビートルズのアルバムを繰り返し流していて、それを聞いて育ったはずなのに、このカフェに響くレットイットビーの変化に気が付かなかった。
「そういえば」と、音楽すら久しぶりに聞いていることに気づく。
家から徒歩10分くらいの、近場にも関わらず足を踏み入れたことのなかったカフェで、いろいろなことに気づい