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7月

十二時三十分

まもなく電車が入ってきます。線路の~

鳴り響く踏切の音、下がる遮断機
もうすぐ わたしを現実に戻す電車が来る。


夏休みが始まってから数日

わたしは祖父母のお家に遊びに来ていた
海の目の前にある素敵な一軒家

両親と一緒に来ることはあるけど、
今回は1人で1週間。

畑仕事や 家事を手伝いながら、
空いた時間で町の行事や会に参加した

忘れもしない。
こっちに来て2日目の出来事

その日は、町のおまつりで
おばあちゃんは浴衣を貸してくれた。

町内会の小さなおまつりだし
浴衣を着てる人は殆どいなくて…
ちょっとだけ恥ずかしい
(おばあちゃんは近所の人のんだくれてるしね)

外れのベンチに座っていると
多分、2つ上のお兄さんが声をかけてきた

『綺麗な浴衣ですね』

こんな田舎でナンパか?と一瞬疑ったが
少し話してみると、どうやら違うみたい

彼も夏休みで祖母の家に来ていて
付き添いでおまつりはきたものの、
地域特有の空気が苦手で馴染めずにいた。
何を隠そう、わたしも同じ。

はぐれもの同士 打ち解けたわたし達は
一緒にお祭りを回ることに

型抜きをして、やきそばを食べて
海辺で花火をして 彼とはさよならをした

「明日も居ますか?
よかったら、また会いたい です」

なんて わたしには言えなかった。

多分 近所のお家に滞在してるはず
ばったり会えないかな…



結局、あの人には会えなかった

おばあちゃんの話だと、
おまつりの次の日には帰っていたらしい。

心に生まれた気持ちが
恋か 憧れかもわからないまま

わたしの夏は終わりを告げそうです。


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