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強迫症はなぜ起こる?原因と改善法を徹底解説

どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラー兼大学教員です。

今日は「強迫症はなぜ起こる?どう改善する?」というテーマでお話ししていきます。強迫症、いわゆる「強迫性障害」って、皆さんも一度は耳にしたことがあるかもしれません。

手を何度も洗わないと落ち着かないとか、家の鍵を何度も確認してしまうといった、日常生活に支障をきたす行動を繰り返してしまう症状のことです。これがなぜ起こるのか、そしてどうやって改善していくのかを、心理学的な視点から見ていきましょう。

まず、強迫症が起こる原因について、認知行動理論を基に説明します。強迫症の発症は、「不安」と「その不安を解消するための強迫行動」という悪循環で説明されます。

例えば、「手が汚れているのではないか」「火を消し忘れたのではないか」という強迫観念が、心の中で不安を引き起こします。こうした強迫観念が頭から離れず、どうしてもその不安を解消しようとして、特定の行動に走ってしまうんです。手洗いをし過ぎたり、何度も火元を確認するというようにです。

ここで問題になるのは、この強迫行動自体が不安を一時的に和らげるために、「その行動をすれば安心できる」と頭が覚えてしまう点です。一度手を洗って安心する、鍵を確認してほっとする、そういった行動が「安心するための習慣」として強化されてしまうんです。

結果的に、不安が生じるたびにその強迫行動を繰り返し、さらにその行動が強化されるという悪循環に陥ってしまいます。これが、強迫症がなかなか治りにくい理由なんです。

じゃあ、どうやってこの悪循環を断ち切るか。ここで登場するのが「暴露反応妨害法(Exposure and Response Prevention)」というアプローチです。

これは、強迫症を改善するための認知行動療法の一つで、不安を引き起こす状況にあえて接してみて、その後に不安を和らげるための「反応」(つまり強迫行動)をあえて妨げるという方法です。

具体的には、例えば「手が汚れているかもしれない」という強迫観念がある場合、手を洗わずにその不安を感じる状態にあえて接します。最初は当然、強い不安を感じますが、ここで重要なのは「不安が高まっても手を洗わない」という行動を実践することです。

最初はつらいんですが、この「反応妨害」によって、徐々にその不安が自然に和らいでいくという経験を積み重ねるんです。このプロセスを繰り返すことで、「不安があっても強迫行動をしなくてもいいんだ」と学習していくわけです。

もう少し具体的な例を挙げると、例えば「鍵をかけ忘れたかもしれない」という不安に対して、暴露反応妨害法では、あえて一度だけ鍵を確認した後、それ以上確認しないようにします。

最初は「もう一度確認したい」という強烈な衝動に駆られるんですが、その行動をあえて妨げることで、不安が自然に減少していくのを経験します。この繰り返しが、強迫行動と不安の結びつきを弱め、最終的には不安を感じても強迫行動をしないという新しいパターンを作り出します。

この方法の効果は、時間がかかるものの非常に有効です。なぜなら、不安に直面し、それをどうやって乗り越えるかという経験を積むことが、「慣れ」を促します。

強迫行動をしなくても「大丈夫だ」と感じられるようになるには、何度も慣れと反応妨害を繰り返す必要がありますが、少しずつ不安の強度が下がり、行動も自然と改善していくんです。

このアプローチが有効である理由は、強迫症の根本的な原因である「不安を避けようとする行動」を断ち切ることができる点です。強迫行動は、不安を一時的に和らげるだけで、根本的な解決にはなりません。

それどころか、強迫行動を続けることで不安がさらに強化されるという悪循環に陥ります。暴露反応妨害法を通じて、不安と向き合い、強迫行動を行わずに乗り越える経験を積むことで、強迫症からの回復が可能になるわけです。

まとめると、強迫症は「不安」と「強迫行動」が繰り返される悪循環によって維持されることが多いです。しかし、この悪循環を断ち切るためには、暴露反応妨害法を用いて、不安に向き合いながら、強迫行動を行わないことがカギとなります。

それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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