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失敗を成功に変える、今年一年の振り返り方のコツ【心理学】

どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラーです。今回は、「行動実験」という心理学の考え方を活用して、今年一年を振り返る方法についてお話ししていきます。特に、失敗したと感じる出来事をどうやって役立てるかを中心に考えてみましょう。

一年を振り返るとき、どうしても「上手くいったこと」と「失敗したこと」に分けて考えがちです。上手くいったことは自然と前向きに振り返れますが、失敗については「なんでこんなことをしてしまったんだろう」とネガティブに捉えてしまいがちです。でも、失敗も見方を変えれば成長の種になります。行動実験を使えば、それがより明確になります。

まず、行動実験とは何かというと、心理療法の一環で、自分の思い込みや信念を検証するために、実際に行動してみることを指します。たとえば、「私は人前で話すのが苦手だから、絶対失敗する」と思っている人が、あえてプレゼンテーションに挑戦してみる。そして、その結果を通じて「本当に失敗したのか?」を検証するという方法です。要するに、仮説を立てて実験をするようなものです。

この考え方を振り返りに応用すると、失敗したと思う出来事を、単なる「ミス」としてではなく「行動実験の結果」として捉えることができます。「こうすればうまくいくと思っていたけど、予想とは違った結果が出た」と冷静に見つめ直すわけです。

具体的にどう振り返ればいいか、手順を考えてみましょう。

まず、失敗したと感じた出来事をリストアップします。「あの試験で良い点を取れなかった」「部活の大会で結果を出せなかった」「人間関係で誤解を生んでしまった」など、何でも構いません。その際、「失敗した」とだけ書くのではなく、「何を目指していたのか」「どんな行動を取ったのか」「結果はどうだったのか」も一緒に書いてみてください。

次に、その出来事について、「自分はどんな仮説を持っていたか」を振り返ります。たとえば、「毎日2時間勉強すれば試験で良い点が取れると思った」「自分が積極的に声をかければ、部活のチームメイトとの関係が良くなると思った」などです。この仮説があったからこそ、何らかの行動を取ったはずです。

そして、その仮説がどの程度正しかったかを検証します。重要なのは、「失敗=すべてが間違っていた」と結論づけないことです。むしろ、「どこが良かったか」「どこがズレていたか」を具体的に考えることが大切です。たとえば、「毎日勉強したこと自体は良かったけど、内容が試験範囲とズレていた」とか、「声をかけるタイミングが悪かったかもしれない」といった具合です。

最後に、次にどう改善するかを考えます。これは、行動実験の「次のステップを計画する」段階に相当します。「試験範囲を確認してから勉強計画を立てよう」「部活の仲間に声をかける前に、相手の気分を考慮してみよう」といった具体的な行動を考えるのです。

こうすることで、失敗を単なるミスとして終わらせず、自分の成長のためのデータとして活用できます。これが「失敗を役立てる」という考え方です。

また、行動実験的な振り返りをすることで、「次に何をすればいいか」が明確になります。「何がうまくいかなかったか」を冷静に分析することで、「では、次に試してみるべきことは何か」が具体的に見えてきます。これが、単なる反省と行動実験的振り返りの違いです。

たとえば、今年あなたが「人間関係がうまくいかなかった」と感じているとします。それを「私は誰とでも仲良くなれると思ったけど、そうではなかった」と振り返るだけでは不十分です。代わりに、「どのように仲良くなろうとしたか」「その方法がなぜうまくいかなかったか」を分析し、次にどうするかを考えるのです。これによって、来年はより良い人間関係を築くための具体的な行動が見えてきます。

行動実験的な振り返りをするときに大切なのは、「自分を責めない」ということです。失敗はあくまで「実験の結果」であり、それ自体が成功でも失敗でもありません。それをどう活かすかが重要です。この視点を持つことで、失敗した自分に対しても優しくなれるのではないでしょうか。

振り返りは、自分の過去を見つめ直しながら、次の行動を決めるための大切な作業です。行動実験の考え方を活用すれば、今年一年の失敗を、来年の成功のための貴重なデータとして活かすことができます。ぜひこの方法を試して、前向きな振り返りをしてみてください。

それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!

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