認知機能とはそもそもなんだっけ?
どうも、あおきです。医学部でコミュニケーション教育と心理学教育を行っている研究者兼心理カウンセラーです。
今日は「認知機能とはそもそも何なのか?」というテーマについて話していきます。認知機能という言葉、聞いたことがある人も多いかもしれませんが、それが具体的に何を指しているのか、意外と曖昧な部分もありますよね。
そこで、認知機能とは何かを網羅的に整理してみましょう。
まず、認知機能とは、人間が外部の情報を取り入れ、それを処理して、行動や判断につなげる能力のことを指します。
日常生活の中で当たり前にやっていること、例えば人の話を聞いて内容を理解したり、時間に合わせて行動を計画したりすることなど、これらすべてが認知機能の働きによるものです。
認知機能は大きく分けると、以下のような主要な要素に分けられます。
1. 記憶
記憶は認知機能の中でも最もよく知られている要素の一つです。大きく短期記憶(短期間だけ情報を保持する能力)と長期記憶(長期間情報を保存する能力)に分かれます。
たとえば、電話番号を一時的に覚えるのは短期記憶、子どもの頃の思い出を思い出すのは長期記憶です。また、長期記憶はさらにエピソード記憶(具体的な出来事を覚える)や意味記憶(知識や事実を覚える)などに分けられます。
2. 注意
注意は、周囲の情報の中から重要なものに焦点を当てる能力です。
例えば、教室で先生の話に集中して聞くことや、街中で車の音に注意を向けることがこれに当たります。注意は「選択的注意(必要な情報だけを選んで集中する)」「持続的注意(一定時間注意を保つ)」などの種類があります。
3. 言語
言語機能も認知機能の一部です。
話す、聞く、読む、書くといった能力を支えるのがこの機能です。たとえば、単語の意味を理解すること、文法に従って話すこと、あるいは文章を読んでその内容を理解することです。
これらは言語機能が正常に働いているからこそできることです。
4. 視空間認知
視空間認知とは、自分と周囲の物体との位置関係を正確に把握する能力です。
例えば、地図を見て道を理解したり、目の前のコップを手に取るといった動作がこれに当たります。この機能が弱いと、空間の中で自分の位置を把握するのが難しくなることがあります。
5. 実行機能
実行機能は、目標に向かって行動を計画・調整する能力のことです。
たとえば、「明日は宿題を終わらせよう」と計画し、必要な道具を準備し、実際に取り組むこと。このプロセス全体を支えるのが実行機能です。さらに、突発的な問題が起きたときに柔軟に対応する力もこの実行機能に含まれます。
6. 社会的認知
社会的認知とは、他者の感情や意図を読み取る能力です。例えば、友達の表情を見て「何か困っているのかな?」と察する力や、場の空気を読んで適切な発言をする力がこれに含まれます。
この能力は、人間関係を築くうえで非常に重要です。
これらの認知機能は、脳のさまざまな部位が連携して働くことで実現されています。
たとえば、記憶には主に海馬という脳の部位が関与し、実行機能は前頭葉が大きな役割を果たしています。一つの機能だけが独立して働いているわけではなく、複数の認知機能が協力して私たちの行動を支えています。
さて、ここまで認知機能の具体的な要素について話してきましたが、これらはどれも生活に欠かせないものばかりです。
例えば、買い物リストを覚える(記憶)、店内で目当ての商品を探す(視空間認知)、買い物の順番を考える(実行機能)、店員さんと会話する(言語)、他の買い物客との距離を気にする(社会的認知)。
こうした日常の行動の一つ一つが、認知機能の総合的な働きによって成り立っています。
認知機能が低下すると、これらの基本的な生活の中で困難を感じることが増えてきます。
たとえば、記憶力が低下すれば、大事な予定を忘れてしまうことが多くなりますし、実行機能が低下すると、日々のスケジュールを立てて実行するのが難しくなります。
これらの認知機能を理解することは、自分自身や周囲の人をより深く理解するうえでも役立ちます。
また、認知機能を鍛えたりサポートしたりする方法を見つけることで、生活の質を向上させることができます。
日常生活の中で当たり前に使っている能力ですが、こうして一つ一つを整理してみると、認知機能がどれほど大切なものかがわかるのではないでしょうか。
そして、これらの機能が複雑に絡み合いながら、私たちの生活を支えているのです。
それでは最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!