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医学生の医療コミュニケーション教育の効果をまとめたコクランレビュー!効果ありと言えるか?

医療コミュニケーション教育の効果は研究上でもそこそこでていますが、研究の質が高くはないので、もう少ししっかりとした研究をしていく必要がありますね、というお話をします。

医学教育マニアとしてはこころおどるレビューが出ていましたのでご紹介したいと思います。コクランレビューというのは、特に医療情報についての研究成果を適切な方法でまとめ、現状の研究エビデンスってどんなもんよ?というのを紹介してくれるものです。

医療コミュニケーションが患者さんのアウトカムの向上に重要であることはいうまでもありませんが、どんな教育をすると医療コミュニケーション力がアップするのでしょうか?


このレビューでは、

オープン・クローズドクエスチョンの適切な使用、傾聴、言語的および非言語的なサインへの気づき、患者さんの反応の促進、患者さんの困りごとや心配事を引き出す、患者さんのアイデアの検討、患者さん視点での情報収集と理解、説明と計画のための患者との連携、共有意思決定、診察構造の維持、情報の明確化と要約など

を医療コミュニケーション能力と定義しました。

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医療コミュニケーション教育では

大人数の学生を対象とした講義や、少人数のグループを対象としたワークショップ、患者さんや模擬患者さん、または同級生とのコミュニケーションの練習などがあります。

あるいはロールプレイやビデオフィードバック、eラーニング形式の学習などもあります。

医学部または医学系大学院で行われたコミュニケーショントレーニングの有効性を評価する無作為化対照試験(RCT)、クラスターRCT(C-RCT)、および非無作為化対照試験(準RCT)を対象としています。収集した論文RCT55件、準RCT9件、C-RCT7件、準C-RCT5件、計76件の論文で、対象者数は10,124名でした。

コミュニケーショントレーニングはほとんどのアウトカムにポジティブな効果をもたらしていました。特に、通常のカリキュラムや比較群と比べて、

全体的なコミュニケーション技能(標準化平均差(SMD)0.92、95%信頼区間(CI)0.53~1. 31)および専門家評価の共感性(SMD 0.64、95%信頼区間0.23~1.05;6件の研究、831名の参加者;I² = 86%;低質エビデンス)を向上させる可能性

があることがわかりました。

患者さんから情報を収集する能力もコミュニケーショントレーニングによって向上しました(SMD 1.07、95%CI 0.61~1.54)。一方、学生のラポールの構築や情報を提供するスキルへの効果は十分ではなかったようです。

研究は多くはなかったのですが、講義形式と実践形式のトレーニングの間に効果の差はなく、対面式とオンライン方式の間でも差は認められませんでした。一方、情報提供のスキルについては、対面式の方法では若干の悪影響を及ぼす可能性もありました。

また、コミュニケーション内容について個人にフィードバックをすることは効果的なようですが、模擬患者さんからフィードバックを受けた場合と同級生からフィードバックを受けた場合での効果の差は認められなかったようです。

最後に、研究成果についてのエビデンスの質は高いとは言えなかったため、結果の解釈は慎重に扱うことが必要であるという結果でした。 

ということで、コミュニケーショントレーニングは、医学教育の中で取り入れられることで、コミュニケーション能力が上がる可能性は示されています。基礎的な共感力やコミュニケーション力を身につけるにはいいのかもですが、情報提供のスキルなどアドバンスな能力については別のトレーニングの方法を検討する必要があるのかもしれません。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。

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筆者 あおきしゅんたろうは福島県立医科大学で大学教員をしています。大学では医療コミュニケーションについての医学教育を担当しており、臨床心理士・公認心理師として認知行動療法を専門に活動しています。この記事は、所属機関を代表する意見ではなく、あくまで僕自身の考えや研究エビデンスを基に書いています。

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