Overcome the complex.
「ネガティブな自己認知の脱却」
ネガティブ思考の私が自信をつけるまで
○抑うつ的な人は「嫌なこと」に目を向ける
抑うつ的な人は、「私には悪いことばかり起こっている」という認識が作られている。例えば、こんな研究がある。抑うつ群が課題を行ったところ、成功後は自己注目が低下するのに対し、失敗後は自己注目が維持されている。また、自分自身に注意が向くと、非抑うつ群はポジティブな出来事の想起が増加するのに対し、抑うつ群はネガティブな出来事の想起が増加する。これらは、自分についての知識が体制化された、セルフ・スキーマが関係している。セルフ・スキーマに一致する情報はすぐに思い出されやすいため、自分に関するネガティブな情報が体制化されている抑うつ者の場合、ネガティブな情報への反応が早くなるのである。このように、抑うつ的な人は「嫌なこと」から注意をそらすことができない特徴があると言える。実際には、その人に起こっている出来事の、いいこと、悪いことの数は、他の人と変わらないけれど、抑うつ者が「自分には悪いことばかり起こる」と考えてしまうのはこのためである。
○思考のリバウンドと代替思考
「嫌なことを考えない」ようにしようとすればするほど、そのことを考えてしまうという研究もある。潜在的な気分は抑制をしようとしてもコントロールできないことから、抑うつのレベルに関係なく、誰にとっても「考えない」ようにすることはとても難しいことであると言える。ではどうしたら、ネガティブな自己認知を脱却できるだろう。「考えても考えなくてもいい」と、抑制されないほうが、「考えない」ことができること、抑制するための手立てとして代替思考がある方が、「考える」ことが少なくなることを指摘する研究がある。「考えないようにする」ことは、むしろ思考が活性化され、余計に考えてしまうリバウンドが生じる。つまり、①「考えないようにする」をしないこと、②嫌な出来事を払拭する手掛かりになる別のことを考えるのが良いということになる。
自分自身を振り返ってみると、自分にとって「ミスをした」と感じることがあれば、気持ちの切り替えが上手くできずに、引きずってしまうことが多い。それは、「考えないようにしよう」、「気持ちを切り替えよう」と思っているからであり、まさに思考の活性化や、リバウンドが生じている状態。だから、無理に「考えない」ようにしないこと、それでも何度も考えてしまう場合は、マジックワード(嫌な出来事を払拭する手がかかりになる言葉)を自分の中でつぶやいていく。これは、悪い出来事と全く関係ない言葉がいい。例えば「魚のしっぽ」。こうすることで、失敗を引きずりにくくなり、前向きに「次にどうすればよいか」を考えられるようになった。
○自分の原因帰属スタイルを知る
原因帰属スタイルは、大きく内的・外的の二つに分けられる。「私には体力がない」、「今日は調子が悪かった」という自分に関することは内的要因。一方、「この問題はいつもよくない」、「今日は天気が悪い」と自分以外のものは外的要因となる。私の考え方の癖として、内的要因に原因帰属していることが多いと思う。もちろん、仕事がうまくいかなかったときに、自分の準備不足を反省して、次に活かしていくことは必要なこと。けれど、「自分の力不足では」と内的要因にばかり目が行くと、なぜそのようなことが起こったのか、どうすれば解決できるかを、客観的に考えられなくなる可能性もある。その結果、同じことが繰り返され、「やはり私の力不足だ」とネガティブな思い込みが増えていく。
○成功事例に目を向ける
このネガティブな自己認知から脱却し、適切に物事を見極め対応していくために、小さなことでもいいから、自分の取り組みの中での成功事例にも目を向けていこうと考えた。失敗が多くなると余裕がなくなり、自分自身のいい面には中々目が行きにくい。だからこそ、普段からポジティブな面を見つけようと、自分自身や自分の仕事の成功体験を見ていくことで、自分の「失敗に目を向けがち」な癖を、変えていきたいと考えた。そこで作ったのが、「ポジティブ日記」。小さなことでもいいから、「うまくいった」と感じたことや、周りの人に褒めてもらえたことなどを、メモしておくものである。それを見れば、自分がどんなことが得意か、どうすればうまくいったのかが一目で分かる。すると、次はこうしようと新しい行動につながっていく。自分の強みを知ることは自信につながり、また新しいことに挑戦しようと行動できる。成功すれば、また自信につながり・・・と好循環が続いていく。
大切なのは自分の考え方の癖を知ること。私の場合は、「失敗に目を向けがち」、「内的要因の原因帰属」だった。だから、代替思考や成功体験への注目をすることで、ネガティブ思考からの脱却を目指した。そうすると自然と自分のいいところにも目がいくようになり、自信を持てるようになってきた。まだまだ、考え方の癖は簡単には治らないけれど、少しの意識で変えられることもある。
どこかの誰かの何かのヒントになれば嬉しく思います。
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