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太宰治と聖書【知的雑学トリビア・豆知識】

太宰の友人であった亀井勝一郎
『聖書』と太宰文学との関連を無視したならば、太宰文学の理解は不可能だと言っても過言ではあるまい」と言ったのはよく知られた話である。

また上智大学教授であった村松定孝
……私事にわたるけれども、私が戦前戦後を通じて接した太宰との十年間の交際において、彼を訪ねるたびごとにほとんど聖書の言葉を口にしなかったときはないくらい、つねにキリストをたたえつづけていた……」と告白している。

また太宰の側近であり弟子の一人である小山清は、
「太宰がその文学活動の初期から最後に至るまで、最も関心を持ってゐた対象はキリストであろう……中略……彼はただイエスの言葉に霹靂を感じたのである……中略……彼は最も素朴に、そして正当に、聖書を読んだのである」と語っている。


昭和22年(1947年)3月17日:太宰治と山崎富栄が初めて出会ったとき太宰が「聖書ではどんな言葉を覚えていらっしゃいますか」の問に富栄が答えた聖句。

私は急に楽しくなって、ふふんと笑った。
『機にかないて語る言は銀の彫刻物に金の林檎を嵌めたるが如ごとし』、という聖書の箴言を思い出し、こんな優しいお母さまを持っている自分の幸福を、つくづく神さまに感謝した。

[太宰治『斜陽』二章/箴言25:11]

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