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『兎が二匹(山うた)』読書感想文
*ネタバレ要素を含む記述があるかもしれません*
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山うたさんの『兎が二匹』を読みました。
2巻完結とは思えないほど濃密で、胸に突き刺さる作品でした。
1時間弱で2巻読み終えましたが、心にいまだに何かが残り続けています。
キーワードは「死」と「孤独」
どんなに方法でも死なない、死ねず400年生き続ける女性と青年のお話。
内容はネタバレしたくないので割愛に割愛を重ね、最も感じ取ったことについて感想を述べようと思います。
それでは行きます。
これは、死について考えさせられるお話でした。
死ぬことに対する恐怖は誰しも持っているはず。死は誰にでも確実にやってくる人生のイベントであり、誰も死からは逃れられない。
死ぬことは怖い。なんなら死にたくない。そう思うこともある。
でも作中の女性は絶対に死ねない、400年も生きている。
数えきれないほどの自殺をしては生き返り、長く生きるほど、友人は死んでいく。自分だけ取り残されたまま生き続けている。
この作品を読んで、死は確かに怖いが、死ねないことはそれ以上だと感じました。「死」というイベントはある種の救済措置なのかもしれない。むしろ、「死」が確実に待っているから、生きることに前向きになれるのかもしれない。
少しだけ、ほんの少しだけ「死ぬことができる」ことにありがたみを感じました。
少し内容に触れますが、
作中の不老不死の女性は、あらゆる時代を生きてきて数えきれない死別を経験し、戦争も経験し、自分の死ねないことに、諦めさえ感じている。
ここからは私の感想ですが、死ぬことができずに生き続ける彼女の心境を想像したときにものすごく悲しくなりました。
うつろいゆく時代、仲間とかつて訪れた場所に数十年後に再び、当時と全く同じ見た目で訪れ、まるで、時の流れが彼女だけ止まってしまっている。そこに深い悲しみを感じた。
この作品は、彼女ともう一人の青年との二人でのお話で、そこにはさらに魅力的で、また、考えさせられるシーンが多くあります。
ぜひ読んだことがある方とお話ししたいです。
2巻完結ですが、深い、深い、とにかく深い作品でした。
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