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スピットファイアを水性塗料で仕上げる #5

残すは機体の仕上げです。スミ入れ、デカール貼り、クリヤーコート。

スミ入れ

合わせ目以外ほぼ彫り直してませんが、けっこうツーっと入ってくれました。きーもちぃー

今回はウォッシングのような汚しは兼ねず、ただパネルラインに流し込むスミ入れ。タミヤモデリングブラシHF面相筆極細*で、筆を当てる箇所が最小限になるように流し込み、拭き取る箇所が少なくなるようにしました。
そのためリベットには一つずつ筆を当てています。
 *この筆は樹脂毛です。毛に長さがありコシもあるので、プラに当てた際、スミ入れ塗料がモールド以外の表面に触れる箇所が最小限にできる気がします。しかも安い。ただし他の筆同様、無駄な箇所に塗料が着くか否かは、筆に含んだ塗料の量によるので、キムワイプなどに吸わせたりして調整します。

拭き取りはエナメル溶剤を含んだ綿棒で。
クリヤー挟まずとも全く滲まないですよ!水性ホビーカラーの半光沢の威力を実感しています。

一部、モールドが浅くてスミが取れちゃう所は手描き**しています。
 **これはフィギュアではよくやる。線を描いていて、太くなったら両側をシンナーを含んだ筆でなぞって拭き取り、細くする。

けっこう強く入ったね。迷彩のボケ足とのコントラストが生まれて、これはこれでいいや
下面のリベットにもしっかりスミが入る。ここも強すぎたけど、模型っぽくて、これはこれでいいや(n回目)

デカール貼り

いつもの手順をメモします。

①デカールのニスをなるべく切る。

②お湯を沸かし、カップウォーマーで温度を維持する。75℃で設定。

③Mr.マークセッター旧版を貼り付け面に塗布。

④余分な水分を出しながら位置合わせ。綿棒、爪楊枝、面相筆を使用。

⑤お湯に浸けた綿棒を押し当てる。お湯が熱いので蒸しタオル代わりとなり、曲面にも密着してくれる。
主翼のラウンデルに突起が被りますが、このやり方でしっかり馴染んでくれました。この付近のパネルラインやリベットにも馴染みます。

⑥必要に応じて、タミヤのマークフィットのハードタイプ、スーパーハードを使う。

⑦パネルラインにまたがるデカールは、乾き具合を見ながら、デザインナイフで切り込みを入れる。その際、⑥までで密着しない所を中心に、無理せず全てやろうとしない。

迷彩がボケているぶん、クッキリ要素が入ってひと安心。主翼上の黒のストライプは軟化しやすくなり難しかったです

ポイントは⑤でしょうか。
熱いお湯を使うことで、最初に水に浸した時点でデカールが少し柔らかくなり、さらに熱い綿棒と、マークセッターの若干の軟化剤とで、密着してくれる感じです。

例えば古いデカールには、特に水に浸しても全然台紙から離れないもの、すぐパリパリと割れてしまうものがあります。しかし熱いお湯に浸けると、これらはかなり防げることがありました。
(noteに載せたものではハセガワのカローラWRCのカストロールカラーがこれでかなり助かりました)

シルバリングについては、③④⑤の過程で密着したので、特に発生していません。
デカールの接着面が軟化しているか、のり成分が足りているかも大事ですが、そもそも半光沢の塗装面が滑らかだったのが大きく貢献していると思います。

2024/12/18追記:書き忘れましたが、今回、水性塗料の塗膜の上にデカール軟化剤を使用しても塗膜を傷めないか(溶かさないか)見てみました。
前述、クレオスのMr.マークセッター、タミヤのマークフィットのハードタイプ、スーパーハードの三つを使いましたが、若干溶けたようです。また糊が落ちずに残ってしまった箇所があります。へたに落そうとすると怖いので、クリヤー吹きで消えるものは消しました。
この辺りは二機目以降で改善していきたいです。

クリヤーコート***

 ***「クリヤー」はタミヤの塗料の表記、「クリアー」はクレオスやガイアノーツ等の表記。表記ゆれ気になるー

H110半光沢クリアーとGH101プレミアムトップコート UVカットスムースクリアー(つや消し)を混ぜてつや消し寄りの半光沢をデカール部分と凹み部分にのみに吹きました。
つや消し寄りにしたのは、デカールのニスのテカリを抑えるためです。

水性にして心配だったのは、乾燥が遅いぶん、デカールを侵してシワが出来たり破れたりしないかでした。しかし吹いてはエアーを当ててすぐ乾燥を繰り返せば、ラッカー系となんら変わらない仕上がりでしたぞ!

次いでの作業として、余ったクリヤーに、スモークとジャーマングレイを足してシャドウ色とし、主翼と胴体の境目や尾翼の付け根上下に吹いて、少し陰を入れました。

クリヤーコート後。多少のニスのテカリ、軟化によるデカールのつぶれは気にしない。こういう減点法で模型の出来を見る癖は、時と場合を弁えないと不健康だよね
尾翼付け根の上下に陰。うっすら
あゝかっこいい

クリヤーコートはデカールの保護にならないという意見を見かけます。しかし、単純に上にモノが乗っているのだから保護になっていますし、クリヤーのシンナーと樹脂成分がデカールを若干溶かしながら乾くことで、塗膜との一体化が進むと思います。3割程度はおまじないかもしれませんが、例えば10年たった時のデカールがパリパリ割れるリスクはそれなりに防げるのではないでしょうか****。
オートモデルの研ぎ出し*****の過程と同じ考え方です。

 ****オートモデラーの北澤志朗さんが『自動車模型の楽しみ方』新紀元社p.118で「私自身はやはりデカールのクリアーコートは必須だと考えている。……デカールをクリアーコートしないで仕上げた作品が10年も経たずに無惨に劣化してしまうのを目の当たりにすると、クリアーコートしないという選択肢はあり得ないと思う」と述べられていますが、飛行機模型でも同様ではないかと思う。
 *****オートモデラーの高橋浩二さんが、研ぎ出しの解説の中で、クリヤーのシンナー成分をデカールに貫通させたり、クリヤーの層でデカールを挟んでいわば琥珀ように固めると説明されています(『オートモデリング』2022年10月号 Vol.36 モデルアート社p.72、『上級テクニックを極める1/24カーモデルの製作術総ざらい』モデルアート社p.142を参照)。そこまでいかなくても、上からクリヤーを吹くことは、イメージとしては同じで、微弱でも効果はあるのではないか。

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