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#04【ラリーカー模型 製作の引き出し】トランク固定用スプリング
前回に続き、タミヤ1/24スバルインプレッサWRC '98モンテカルロ仕様製作時に加えたディテールアップです。
リアトランク固定用スプリングは、GC8型ベースの97年~00年のインプレッサWRカーのアイコンと言えるでしょう。
というのも、丸目に変わったGD型ベースの01年以降は、スプリングではなく、ボンネットと同じキャッチピンに変更されたからです(後述)。
このスプリングを自作してみます。
作り方
キットでは、モールドで再現されていますが、形が甘く、またボディの研ぎ出しの際に邪魔になるので、削り取ります。
こういう所を削る際、ナイフだと周りに余計な傷がつきやすいため、平らな彫刻刀(ウェーブHG細幅彫刻刀 平刀、幅は各種ある)が便利でした。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127909912/picture_pc_625f5b19c0812811ab3dac0585471296.jpg?width=1200)
SUBARUのデカールは、スプリングで隠れる「U」字に切り欠きが入っているので貼りやすい
実物の写真を見て、大まかな構造を把握し、できる限りで再現してみます。
①トランク側:プラペーパー(エバーグリーンの0.25mmか0.13mm厚か記憶が曖昧)を切り取り、端を折り曲げて、ボディ側のスプリングに付いたリングが引っ掛かるフックを作ります。
取付ボルトは、ウェーブのR・リベット[角]を先っちょだけ削り落として使用。現在売っているかわかりませんが、伸ばしランナーでも充分かもしれません。
②ボディ側:スプリングは#01で説明したように、0.2mmの銅線を0.3mmの真鍮線に巻きつけて作ります。①のフックに引っ掛けるリングは、真鍮パイプ(内径0.4、外径0.8mmだったと記憶)をスライスしました。
こうして①に②を引っ掛けます。全長はだいたい5mm弱。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127909798/picture_pc_24c7797a14d441371d1bf2d6e99bdcec.png)
少し形が雑……
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127909880/picture_pc_cd7930f9831d2cccad446930c206438c.png?width=1200)
そういえば、最近こういう細かい作業をする時、目線が下に行き過ぎて首や肩が疲れるので、木箱(下の写真はセリアでテキトーに買ったやつ)などで作業台をかさ上げしています。
また、接着される側の部品をいったん両面テープで真鍮ブロックなどに固定して動かないようにしています。
さらに、瞬間接着剤は、なるべく部品の周りにつかないよう、0.2~0.5mmの真鍮線の先につけて使っています。ディテールアップした割に仕上がりが汚い、なんてことにならないよう模索中……。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127910636/picture_pc_354b2fc40ff5c556daf98722128373cb.png?width=1200)
メタルプライマー(Mr.メタルプライマー)を筆塗りし、ブラックサーフェイサー(ガイアノーツ サーフェイサーエヴォブラック)で下地塗装。シルバー(Mr.カラーSM204スーパーステンレス2)で本塗装。
金属色は、他の色も試して質感の変化を見てみたいですね。
実物は、スプリングの下の部分=ボディ側に付く部分がバンパーを貫通し、モノコックに固定されていると思われます。この部分に穴を開けて少し通したほうが、さらにリアルになるでしょう……が、面倒なのでやっていません。
このインプレッサは全体的にマーキングが少ないのですが、そのぶん、こうしたスプリングの工作が、そして何よりリアのフェンダーからオシリの曲線が、映えますねぇ。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127909960/picture_pc_7b8bc24b3299ea5ceb96570b892e77ab.png?width=1200)
スプリング考
冒頭、このスプリングを97年~2000年のインプレッサWRカーのアイコンだと書きました。厳密には、00年第4戦ポルトガルでデビューしたインプレッサWRC 2000、すなわちGC型ベースの最終進化型では、スプリングではなく、丸穴にピンを差し込むようなもの(フォードエスコートWRCのリアみたいな感じ?)に変更されています(詳細ご存知の方で教えていただければ幸いです)。
(そういう所も、この2000年最終型の面白いところで、本当は私が一番作ってみたいインプレッサなのですが、可能性としては入手困難なエレールの1/43ぐらいでしょうか)
他にも、このスプリングを採用したラリーカーは、近い年代では、トヨタカローラWRカーの97年車、Gr.Aのトヨタセリカが見つかりました。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/127909982/picture_pc_62bcda7a153bd2ccbf6ebd6b4f23c35f.jpg?width=1200)
(東京・晴海、トヨタのメガウェブにて撮影)
98年インプレッサWRCは、タミヤがリリースした初めてのWRカーということもあってか、スプリング部分もボンネットピンも、まだ別パーツ化されておらず、全体的に簡潔にまとめられています。
その後、トヨタカローラ、三菱ランエボ、プジョー206など、続々とキット化されていくうちに、パーツ分割が増えたように感じます。WRCの人気も相まってか、タミヤが設計思想を見直したのだと思います。
今回はスプリングも、ボンネットピン(次回以降で書く予定)も削り取り新調しましたが、キットのまとめ方としては、元のままで充分な気がしています。
こうした変遷をたどるのも面白いですね。
なお、GC8型のインプレッサWRカー プラモデルについては、タミヤが99年コルシカ仕様もほぼ同じパーツ構成で製品化し、現在も流通しています(98年サファリ仕様、00年カタルニア仕様・新井車は生産休止)。
この99年バーンズ車で再挑戦したいものです。
了
参考資料
『ラリーエクスプレス』1999 Vol.15スバルインプレッサWRC ‘99スペシャル、山海堂、1999年
『ラリーエクスプレス』2000 Vol.11(ツール・ド・コルス)、山海堂、2000年
『RALLY CARS』Vol.25 スバルインプレッサWRC 97-2000、三栄書房、2020年
『タミヤニュース』Vol.351、1998年夏臨時増刊号、田宮模型編集室、1998年