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そういうもんさ、そういうもん。
書きかけの下書きをなんとなく見ていたら、去年のいつかに書いたものが出てきた。
ぴしりぴしりと当たる風で心が痛い。良い風向きになってきたと思ったらまた邪魔をされ、おかしな方向に進んで行く。
やっと幸せがあと少しで手に届きそうだったのに。
悪いことはどんどんと連鎖を起こして次から次へと不運に巻き込まれて。そしてその巻き込む中に、信頼している身内がいたことに心が痛まずにはいられない。
ああ、またここか。またここは「どん底」という名の井戸の中だ。ひんやりと冷たく、薄暗いけれど、居心地が悪いわけでもないから、ここにもうずっといてもいいのかな。このまま横になってじいっとしていても、と思う時がある。
外の世界は生きづらい。
下書きはここで終わっていた。まだなにか書きたかったのか、それともこれを世に出さずにわずかな希望を持っていたのか、記憶は全くないけれど。
言霊というものを私は信じていて、書けば書くほどその現実から逃れられなくなることが実際に何度もあったので、出すのを躊躇したのかな。
そうだとしたら、こんな今頃になって世に出してしまって去年の私に申し訳ない。でも、もう時が過ぎて今の私の言葉じゃないからこれは「現実」ではなくただの「昇華」なんだ。
この世のいろんなことがわかってきたように思う。スピリチュアルなのか、科学的な根拠のあるものなのかはわからないけど願い事は、書き方次第で叶う。
文字の書き方と、まあもちろん自分次第だけど。いろんな願いを持ちながら走ってきて、たくさん叶ってきた。あの人は言う、「なんでもふーん。で済んできただろう?」と。
これからも困難があっても毅然とした自分でいればなんとかなるような気がしてくる。というか、今までの「困難」が地獄すぎてこれ以上何かあるとしたらなんなんだ?
頑張って走ってきた力をゆるめて、水面から見えるゆらゆらの光を見つめて、のんびりと、だけどしなやかに、水の中を泳ぐことにした。
水の中で沈んでみると、しばらく海の底を泳ぐみたいになるけれど、次第に体はふわんと浮いて水の上に顔がでる。
そういうもんさ、そういうもん。
楽しもうよ。
山口葵
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